自社の『株式分散』をあまく見るな!
あなたの会社の株式は、複数の株主によって所有されていませんか。
もしそうであれば、十分な注意が必要になります。
「自社の株式!? そんなのどうだっていいでしょ?」
あなたの率直な感想はきっとこのようなものでしょう。
ええ、わかります。
自社株なんて、空気や水と同じように、わざわざ意識されるような対象ではないことでしょう。
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株式分散によるトラブル
しかし、株式を他人に持たれていることによってトラブルが起きています。
たとえば、社長が急に、他の株主から「自分が持っている株式を買い取れ!」と要求されてることがあります。
「株主に配当を出せ!」と要求されることもあるかもしれません。
状況がこじれてしまえば、株主としての権利を使って嫌がらせをされることも。
たとえ1株だけでも、持っていれば株主としての権利が生じます。
この権利を使って経営者を困らせることも、その気になればできてしまうのです。
そして、最近増えていて、困るのが、M&Aのときのトラブルです。
M&Aの買い手は通常、株式を100%買えることを、買収の条件とします。
あなたが会社を売って引退しようとしたとき、他の株主が協力してくれなければ、その時点でアウト!ということにもなりかねません。
株式については、過半数や、3分の2以上押さえておければいいと考えている社長がたくさんいます。
しかし、完全なる自由を守るために、「株式は100%おさえることが基本だ」と考えていただきたいところです。
どうやって株式を集めるか?
「だったら株式を他の株主に持たれている場合、どうすればいいのか?」
株式が分散している会社の場合は、その整理を考えることになります。
相手から株式を買い取る
まず、オーソドックスな方法は、買取交渉を持ち掛けることです。
「株式を売ってくれ」「うん、売るよ」となれば、基本的に売買は成立です。
ここでは問題がいくつかあります。
まず、誰が株式を買うのか。
社長が個人で買うか。会社で買い取るかという選択肢があります。
誰が買うかによって、税金の問題が生じる場合もあります。
もちろん買い取り資金をどうするのかというハードルもクリアしなければいけません。
次に、いくらで売買するか。
どんな考え方をするか。どんな計算方法を採用するかによって株価は変わります。
基本的には自由な取引なので、当事者がいいと言えばいくらでもOKです。
なお、売買の価格によっては税金の問題が生じることもあります。
法律を使って強制的に排除する
株式を売ってもらえないとき、条件がそろえば、強制的に売らせることができる場合があります。
スクイーズアウトなどと呼ばれる法的テクニックを使って少数株主を締め出せます。
具体的にはどんな方法なのかについては、興味をお持ちの方は、他の本やサイトで調べていただけるといいでしょう。
ここでは解説しません。
それよりも重要なことは、法律で一刀両断という姿勢は遺恨を残すことになるということです。
強制的に決着をつければ、相手の反感を買います。
どこかで仕返しをされる恐れがあるのです。
どんなときも相手の納得を引き出すことが優先です。
法律でできることと、実際にやるかは別問題。
利用は極力避けるべきでしょう。
あえて株式を買わないことも・・・
私がコンサルティングをしたケースでは、あえて株式を集めようとしなかったケースもありました。
応用編にはなりますが、これも一つの選択肢です。
こちらから「株式を売ってくれ」と依頼したら、相手はこちらの足元を見てくる可能性があります。
株式の話を持ち出すことが、やぶへびになってしまうこともあるのです。
もし株式を買い集めないでも、本来の目的が達成できるのであれば、わざわざリスクを犯す必要はありませんね。
それゆえ、株式を買うか否かだけでなく、将来や全体の状況まで視野に入れて対策を考える必要があるのです。
分散株式の相談
株式を集めるべきか。
どうやって集めるか。
価格はどうするか・・・
このあたりを考える前に、「未来のためにどんな状況を作り出しておくべきか」というビジョンを描けていなければいけません。
さらには、あなたは「どんな目的を達成したいのか」もハッキリさせておかなければいけません。
それでようやく作戦を立案することができるのです。
様々な方向性や、やり方があります。
事業承継デザイナーの奥村聡に相談いただければ、最適な取り組みをガイドさせていただきます。
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