司法書士は、広告の表現にも気を付け、品位を保持しなければならないとのことです。
昨日は、司法書士の倫理研修なるものを受けさせられました。
登録者は5年に一度、この研修を受講しなければならないことになっています。
主観的には司法書士を辞めている僕です。
通常の司法書士業務はやっていません。
でも、一応資格は持っていて、登録もしていて、毎月会費も払っています。
やむを得ずこの研修を受講しました。
一番印象的だったことは、広告表現に対するディスカッションの場面にありました。
ホームページの文章に「私は、相続のプロで・・・」という文言があったとしましょう。
ここの『プロ』という文言が、引っかかるというのです。
理由は、専門性を担保するものがないから、と。
で、このプロという言葉を、「・・・が得意」とするならOKだとも。
そうなのでしょうか?
僕に違和感がありました。
おかしいのは、私の感覚なのかもしれませんが・・・
なお、僕がプロという言葉をめったに使わないので、以下、『プロ』ではなく『専門』という言葉で話をさせていただきます。
どちらにせよ「専門性を表示すること」が問題とされているので、同じことだと思います。
僕は、事業承継が『専門』です。
(言っちゃった!)
会社を後継者に継いだり、会社をたたんだり売ったり、ときに社長が亡くなったり・・・
これらの「社長のおわり」をまとめ、広義の事業承継と捉えて専門としています。
客観性がうんぬんという話でしたが、専門を名乗るというのは主観的な話だと思っています。
自分はその分野に対して責任を負うという宣言。
その分野で役に立たなければならないという使命感。
専門分野のお客さんにどこまでも寄り添おうというスタンス。
僕はこれらの想いを事業承継の分野にこめて専門を名乗ります。
専門を名乗ることはリスクをとることでもあります。
他の分野への退路を断っています。
専門だと宣言した分野で下手を打てば、強くたたかれることにもなります。
リスクを負ってまでも、自分の姿勢を公開しているわけです。
そこにはプライドもあります。
このような強い決意が、「〇〇を得意とする」なんて表現と比較され、さらに、得意はOKで専門はNGとされる意味がよく分かりません。
「えーっと、僕、事業承継が得意なんですが・・・」
と、
「私は事業承継を専門としています」。
こう並んでいたら、後者の潔さのほうを快く感じませんか。
「・・・得意とする」のほうだったら、能力の客観性が担保されているというわけではありませんしね。
資格業の中には、とりあえず資格の業務範囲で出来ることを羅列して、名刺や事務所の窓やホームページに掲げている人がいます。
不動産取引、相続・遺言、離婚問題、労働問題、交通事故、成年後見、商業登記、起業、供託・・・
羅列した業務の中には苦手なものもあるだろうし、やったことないものまで書かれているかもしれません。
興味が無い分野だってあるでしょう。
私に言わせれば、こっちのほうがよっぼどNGです。
専門分野を名乗るよりよっぽど品位も節操もない。
「私はこの分野をしっかりやります」と伝える専門の言葉には、ユーザーに対する誠実さだって含まれているのです。
思わずヒートアップしてしまいました。
あくまでごく小さな論点を大きく取り上げて語る野暮をお詫びいたします。
全部が全部こんな感じではありません。
ただ相変わらず司法書士の世界の内向きな姿勢を感じました。
この調子だと、ユーザーたる普通の市民の感覚とはどんどん離れていってしまそうな気がします。
ちょっと痛々しい。
昔付き合っていた彼女が、良からぬ方向に迷走しているのを目の当たりにしたような感覚に近いかもしれません。
幸せになってください。