先週、オンラインセミナーを実施した。
「経営に行き詰まったとき社長はいかにふるまうべきか」というテーマだ。
奥村としては、会社再生系のコンサルティングについてはそんなにアピールしていない。
ただかつては、かなりの仕事量をこなしていた時期がある。
あらためてこのテーマで開催してみようと思った理由は、経営環境の悪化にある。
コロナ融資で借金を増やしたものの、収支が回復していない会社が多い。
なにより、コスト増などの今後の中小企業の経営環境を考えると苦境に陥る会社が増えることは目に見えている。
そのため、苦境に陥ったときの「お守り」を届けておきたいと考えた。
必ずしも自己破産するしかないということではなく、また、追い込まれてからの自己破産が社長の再起を妨げてしまう事があることを、あらかじめ知っておいてほしかった。
今回は、ゲストであるM社長から、自身の体験談を語っていただける好機を得た。
経営破綻を体験した本人が、名前も顔も出して語ってくれるなんて普通には考えられない。
M社長の話を聞いて、ご参加いただいた方々は心を強く打たれただろう。
勇気をもらったはずである。
やはり体験をした本人の言葉の力は強い。
いかに奥村が「こういうことができる」「大丈夫だ」と語っても所詮は外野の言葉なのだ。
ご登壇いただいたM社長には感謝しかない。
とても良い気づきを与え、背中を押せる機会が作れたと思っている。
それゆえに、もっとたくさんの方に聞いて欲しかったという残念さを強く感じさせられた。
参加者のほとんどは、弊社の社長の歩き方会員の方々だった。
広告等で既存の会員以外の方も集ったが、そちらからの参加はほぼなかった。
この結果をどのように解釈すべきか。
もちろん奥村の力不足もあろう。
タイトル等の付け方を含めた表現力、奥村の企画ならば参加してみようと思わせる集客力が弱かったという面がきっとある。
ただ、要因はそれだけではないとも感じている。
世の社長さんたちの姿勢だ。
「観たくない現実は見ようとしない」
このクセの影響を感じてしまう。
「こうやったら売上3倍になる」というセミナーには参加するけれど、「借金の返済ができなくなったときどうするか」というセミナーには参加してくれないのだ。
後ろ向きだと感じるし、楽しくないと思うのだろう。
でも本当に確実で、自分を助けてくれるのは後者のタイプだったりする。
後者のような転ばぬ先の杖的なコンテンツは、あらかじめ知っておくから意味がある。
本当に追い込まれてからできることは、もうほとんど残されていないもの。
セミナー企画の難しいところだ。