「法務省が6日、相続登記されずに所有者が不明の土地が増えている問題を受け、初の実態調査の結果を公表した」というニュースがありました。
50年以上登記の変更がなく、所有者不明になっている可能性がある土地は、都市部で6.6%、地方で26.6%だったそうです。
この調査の意義や結果の評価はまだよくわかりません。
ただ名義放置の問題は、解決が大変難しく、今後の地域社会に大きな影を落とすことになると恐れています。
司法書士実務に従事してきた経験上の感覚です。
僕が司法書士事務所をやっていたときには、相続登記がされていない不動産の案件を何回か扱いました。
曽祖父の代から一切名義の変更をしていないケースなどがありました。
(なお父の代まで先祖は亡くなっていました)
同様のケースで、戸籍から相続人を探っていくと、関係者が20人を超した例もあります。
現状どおりの正しい名義にするには、相続人全員の印鑑が必要です。
しかし、全員の住所や連絡先を調査し、コンタクトを取るだけでも大変です。
中には入院していてコミュニケーションが取れない人がいれば、外国に行ってしまって音信不通の人がいました。
相続人が未成年の場合は遺産分割協議のために代理人を家庭裁判所に選任してもらわなければいけません。
なかには、少しでも多くの謝礼を手にしようと、強くゴネてくる人もいました。
結局、決着がつくまでに3年以上かかってしまったのです・・・
現状の制度において、相続登記が放置された不動産の問題をまっとうに解決するには、多大なエネルギーが必要となる場合が多々あります。
当然、時間もコストもたくさん必要となるでしょう。
厄介な案件になれば、すぐに数百万単位の費用がかかることもあります。
しかし、それをしなければ不動産を売ることができません。
地方の空き家問題を考えると、これは重大な障害になるのです。
都心のように不動産の価値が高ければまだましです。
「家が売れれば4000万円手に入る」という状況ならば、相続登記に200万円かけても十分意味があると思えるはずです。
しかし今や地方では、不動産価値が相当下がっている物件も多いのです。
極端の例では、200万円かけて相続登記をしても、家は100万円でしか売れないなんてことも起きうるのです。
そうなればわざわざお金と手間をかけて登記を正しくしようなんて思いません。
この積み重ねで、地方の空き家が増え続ける恐れがあるのです。
そして解決しようにも、現行の法律や手続きではそれはとても困難なのです。
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