相続で事業承継がはじまることも
社長の立場には複数の出口があります。
たとえば、後継者にバトンタッチすることや
廃業や倒産など。
そして、社長に相続が発生することも、
終わり方の一つとなるのです。
本来の事業承継という意味では、社
長がお亡くなりになる前に済ませて
おいていただきたいところです。
しかし、人生には何が起きるかわからず、
また相続のトラブルが会社に影響するケースもあるのが
実際のところです。
相続についても抜け目なく対応しておきたいですね。
相続というものの性質
相続では、亡くなった方のすべてを承継することが原則です。
例外は、その方のみに認められた権利や立場
(たとえば国家資格など)です。
この「すべてを承継」というところが
肝になります。
別の言い方をすれば、
好きなところだけ相続するということはできません。
さらには、資産だけでなく、
借金や連帯保証まで相続してしまいます。
相続の初歩
相続についての基本的なことをお話します。
なお、個々の内容は社長の相続だけに関わることではなく、
一般的な相続についても同様となります。
誰が相続人?
社長がお亡くなりになったとして、
誰が相続人となるでしょうか。
まず、配偶者がいれば、その方は常に相続人となります。
そして後は、子(孫)→親→兄弟の順に相続権が移ります。
第1順位:社長の直系卑属(子供など)
子供がいる場合は、必ず相続人になります。
すでに子が亡くなってしている場合で、
その子に直系卑属がいれば相続権を持ちます。
お亡くなりになった方からみると孫やひ孫です。
第2順位:社長の直系尊属(親など)
子供などの第一順位の相続人がいない場合は、
直系存続に相続権がまわります。
親や祖父母がこれにあたりますが、
死亡した方に近い世代が相続人になります。
第3順位:社長の兄弟姉妹
第1、第2順位の人間がいないときは、
兄弟姉妹に相続権がまわります。
もし兄弟姉妹が先に亡くなっていて、
その者に子供がいるならば相続人となります。
法定相続分
上記のような法則で相続人が決定します。
民法では、ケースごとにその者たちの
相続割合(相続分)が定められています。
①相続人が配偶者と子供(直系卑属)
配偶者が2分の1、子供たちは残りの2分の1を分け合う。
例)妻と子供3人が相続人で、遺産が6000万円
=妻は3000万円 子はそれぞれ1000万円
②相続人が配偶者と親(直系尊属)
配偶者が3分の2、親たちは残りの3分の2を人数で分け合う。
例)妻と親二人が相続人で、遺産が6000万円
=妻は4000万円、親はそれぞれ1000万円
③相続人が配偶者と兄弟
配偶者が4分の3、兄弟姉妹で残りの4分の1を分け合う。
なおこのパターンの相続は
トラブルになる可能性が高いのでぜひ遺言を活用してください。
例)妻と兄弟二人が相続人で、遺産が6000万円
=妻は4500万円、兄弟はそれぞれ750万円
通常の相続手続の流れ
通常の相続の流れは下記のとおりです。
相続放棄や相続税の申告には期限があるのでご注意ください。
《相続手続の流れ》
死亡届の提出
↓
相続放棄(限定承認) ※3カ月以内
↓
相続人の確定
↓
遺産分割協議の開始
↓
遺産分割協議
↓
不動産等の名義変更手続
↓
相続税の申告 ※10カ月以内