【新刊】『0円で会社を買って、死ぬまで年収1000万円 (光文社新書)』
事業承継や廃業などのコンサルティングを行っているウチの仕事には形がありません。
コップや鉛筆を買うように、手に取って、値段を検討することはできません。
お会いしたその日に「奥村さんに仕事を依頼した場合、いくらかかりますか?」と聞かれることがあります。
この回答にいまでも腐心しています。
金額を真っ先に知りたいお客さんの気持ちもわかります。
当日費用と価値のリターンを比較検討したいと思うのは当然です。
しかし、こちらとしては何をどう提供するかすら見えていません。
入り口の段階では、何をやっていいかすら見えていないのですから、当然費用の計算もできません。
さすがに具体的な施策まで見えたときには計算ができますが、もうその時点で、コンサルタント的にはお仕事の半ばは超えています。
もし、この段階で「やっぱり依頼はやめるので、費用は払いません」なんてことになるようではとても辛いわけです・・・
「先に費用と効果を知りたい」というお客さんと、「やってみなければ分からない」というコンサルタント。
この双方のギャップをいかに埋めることができるのでしょうか。
これからコンサルタントを雇うかもしれない会社はどうしたらいいか、を考えてみました。
サービスを買うのではなく投資と考える
まず、依頼者がお金の出し方に対する考えを変えることが一つだと思います。
私たち便利な状況に慣れ過ぎたためか、思いのほか消費者根性が染みついている気がします。
それこそ、自動販売機にコインを投げ込めば、間違いなく意図した商品が出てくるような感覚です。
コンサルタントに対してもそんな感覚で接する人がたまにいます。
「金さえ払えばやってくれるんだろ」と言わんばかりに。
しかし、相手は感情のある人間です。
そんな態度で接したらいい関係になれるはずはありません。
まず、コンサルティングというものは「やってみなければどれほどの効果が得られる分からないものだ」という前提に立つべきです。
だからこそ、相手から力を引き出させなければいけません。
商品を買うという感覚でなく、投資なのです。
それは人を雇うことに近い感覚です。
従業員を採用するときに、その人間を「月給30万円で相手を買う」と思う人はいないはずです。
「給料を払う以上の成果をもたらしてくれるようにパフォーマンスを発揮してもらおう」と考えるでしょう。
コンサルタントを雇うことも、あくまで人への投資だという考え方を持つべきでしょう。
そのように考えれば、人選の重要さが増します。
しっかりと人を見極めなければいけません。
「知り合いに紹介されたから」と安易に考える人は多いですが、それはかなり失敗確率が高いパターンとなります。
自分のものさしをもち、自分の目でしっかりコンサルタントを見極めるべきです。
いいコンサルタントとはなかなか出会えない
かたちの見えないサービス業の中には、結果がわかりやすいものがあります。
たとえば、不動産を売買する際に不動産名義を変えるための登記業務ならば、結果はかなり見通せます。
ゆえに、司法書士に対して払う金額とそれで得られる効果を検討できます。
同様のサービスを提供してくれる他の司法書士と費用を比較することもしやすいでしょう。
しかし、コンサルティングは全く違います。
他のコンサルタントが同じものを提供できるものではありません。
仮に、両社が同じ「財務コンサルタント」を名乗っていても、やり方や効果は全然違うものになるでしょう。
ゆえに「この人だ!」と思うコンサルタントと出会えたら、思いきって投資すべきです。
そもそも本当にデキるコンサルタントは案外少なく、さらに自社に合っているとなるとかなり貴重な存在となります。
「候補は他にもいるし・・・」と思ってもったいぶっている場合ではないかもしれません。
コンサル料を意味なく値切ったり、相手をテストしたがる人がまれにいます。
実力あるコンサルタントほどこういった姿勢を見せると去っていくものです。
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コンサルティングは、お金さえ出せばそれにふさわしいサービスが出てくるというわけでなく、相手への依存やまかせっきりでどうにかなるものでもありません。
コンサルタントを「一緒に取り組んで、未来を拓いていく相手」として考えていただくのがいいと思います
コンサルタントとすり合わせしてからスタート
コンサルタントの力を引き出すため、相手のやり方を尊重すべきです。
だからといって、聞きたいことを聞けず、不安を抱えながらスタートするのは危険です。
お客さん側の考え方についてお話してきましたが、コンサルタント側に問題がある場合ももちろんあります。
説明で手を抜いたり、かけてもらった費用に対する効果にコミットしていないケースもありそうです。
お客さんのほうから、どういう風にコンサルティングを進めていくのかなどは、聞いてみてもいいでしょう。
やってみないと分からないとはいえ、コンサルタントが費用に対してどんなメリットを想定しているのかも聞いてみてもいいと思います。
リスクを軽減させるために、費用の支払い方について工夫を依頼できるかもしれません。
たとえば、うちの場合では、ほとんどのプロジェクトは顧問契約のかたちに落とし込むようにしています。
コンサルティング期間と総費用を見繕い、それを月々の分割で支払えるようにするのです。
そうすれば「あれ何か違う」と思ったり、私がしっかり仕事をしなかったときに、契約を解除しておわらせることができます。
「いつでも止められる」ということは、とても大きなリスクヘッジになります。
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