一つの法人でしたが、内部的には、
東京本店と地方支店で別々に運営されている
会社から依頼がありました。
本店からすると
「大阪支店のコントロールができなくなっているので、
それぞれ別々の会社にしたい」と。
「銀行からの借金も大きく、
そのあたりをどう処理すればいいのかもわからない」とも。
僕が会社に入り、会社分離に向けた絵を描きました。
金融機関との折衝もうまくいきそうです。
あとは、書類に落として実行・・・
という段階で問題がおきました。
本社の社長が
「もっと高く買ってくれないと売れない」
と言い出したのです。
それに対して、
支店の事業を買い取って独立しようとしていた支店長は、大激怒。
これまで積み上げてきたものがすべて台無しになるレベルでした。
社長は、2つの失敗を犯しました。
一つは、後で金額を釣り上げるような、
いわば後出しジャンケンをしたことです。
当初は、「2000万円でどう?」と言っておきながら、
先方がそれでOKすると「でも、それじゃ安すぎる」と。
欲が出てきたのか、分離後の経営が不安になったのか・・・
オファーを出した以上、
その金額でOKされたら
それで交渉が成立すると考えなければいけません。
当たり前に思わるかもしれませんが、
М&Aの交渉などの時に、
こういう態度をとった社長はほかにもいました。
もう一つは、調整役である僕を飛び越して話をしてしまったことです。
こうなるともう修正が効かなくなってしまいます。
感情的にならないように僕が間に入っていたわけです。
また、不当な要求は、
その時点で「おかしい」と指摘する役目でもありました。
それを思いついたままに社長が支店長に伝えてしまったために・・・
急いで支店長をフォローし、
社長に非を認めてもらって、
再度話し合いの席についてもらえることができました。
でも、本当に危なかった。
分離がきれいにできなければ、
お互いにいろんな損害が生じてしまったでしょう。
支店従業員が離反したり、
顧客から取引を切られたり
銀行から愛想を尽かされたり・・・
会社を左右する大きな話なのですから、
慎重にいかなければいけません。