そのままで会社が売れなくても・・・
「欲しい会社なんだけど、借金が大きすぎる」
「購入したらシナジーはありそうなんだけど、
余計な事業まで欲しくない」
こんな会話を耳にすることがあります。
事業は欲しいのだけど、特定のマイナス点が引っかかって
買い手がМ&Aに踏み切れないことがあるのです。
しかし、これで話が流れてしまってはもったいところ。
借金や不採算事業などがネックになる前提には、
「М&Aで会社を買う場合、
買い手はすべてを背負わなければならない」
という常識を抱いているということです。
しかし、実は会社をそのまま売買するばかりが手ではありません。
売る前に会社を整理して、
相手がほしいものだけを譲ることだってできるのです。
買い手はそのほうが喜ぶし、
М&Aの成約可能性や売価も向上するでしょう。
M&Aに会社分割や事業譲渡を活用
ここでも分社手法が活躍してくれます。
事業譲渡や会社分割といった手法を使った
分社のテクニックを活用するのです。
買い手が不要な事業がある場合
たとえば、バスとタクシーの事業をやっていて、
相手は「バス事業のみ欲しい」場合で考えてみましょう。
タクシー事業もセットでなければ買えないとなると、
買い手のM&Aのモチベーションは下がってしまいます。
そこで、バス事業だけを売るのです。
会社分割を使うならば、バス会社を別会社に切り出し、
その会社の株式を売却することができます。
また、事業譲渡でバス事業を
売買の対象とすることもできます。
背負いたくなかったタクシー事業が外れるので、
買い手は気持ちが楽に買えますね。
その後残ったタクシー事業は、自社で続けてもいいし、
別の人に売ることもできます。
買い手がいなければ廃業させる場合もあるかもしれません。
それでも、バス事業を買ってもらえたので、
会社まるごを廃業することになる結末よりは
良い結果となるはずです。
借金が大きすぎる場合
負債が大きい場合でも、
同様に分社を使って解決することができます。
会社分割を使うならば
資産や営業権などの必要な部分だけを別会社に切り出し、
会社ごと買い取ってもらいます。
事業譲渡では、負債は旧会社に残して、
事業や資産だけを買い取ってもらいます。
分社に債権者の合意は得られるか?
ここまでの話を聞いて
「銀行が納得しないのでは?」
との疑問を持たれたかもしれません。
もちろん、
このアクションにより債権者に不当な損をさせるようならば、
黙ってはいないでしょう。
しかし銀行も含めて、いい話を描ければいいのです。
たとえば、必要な部分だけを別会社にすることで、
事業をより高く現金化する。
ひいては銀行への返済額が増える、といったプランです。
逆に、分社をしなければ、買い手がつかずそのまま廃業・・・
銀行が回収できる債権は、
もっと減ってしまうという具合に絵を描くのです。
銀行と敵対する関係になってはいけません。
自称コンサルタントの中には、
銀行に黙って実行しるように指導する人がいるかもしれません。
個人的にはそのスタンスをオススメできません。
情報を開示し、承諾を受け取りつつ進めたほうがいいと思います。
こそこそとやらなければいけなかったり、
銀行から反感を買うようなやり方では、
その後のビジネスにも影響が出てしまいます。
会社分割等の分社手法は、
活用次第で経営にすごく役に立つ場合があります。
小さな会社であっても、いや、小さな会社だからこそです。
詳しい活用法については、
私の運営する『会社分割ドットコム』も
参考にしてくだされば幸いです。