本日も急遽、大阪で社長さんの急死にともなう相談がありました。
このところこの手の相談が増えています。
しかも、会社のことがほとんど分からない、亡くなった社長の奥様がお困りになられているパターンが多いところです。
奥様は社長の相続権を持つので、そのまま相続すれば株主になります。
会社側としては、早く株主になり、その権限で次の代表者を選んで支払等の業務を止めないようにしてもらいたいところです。
しかし、会社の経営にタッチしていなかった奥様としては、よくわからない世界に軽々しく足を踏み入れたくはありません。
また下手に相続をすれば、個人保証まで相続して重荷を背負わざるえなくなる危険まであります。
スピードは求められる一方で、決断は重たい・・・
極めて難しい状況です。
こんな事態が頻発していることについて、今回のブログではまず警鐘をならしておきます。
都内で相談を受けていた同様のケースで、こんなことがありました。
会社の業績も財務内容もよくなく、実質的な資産と負債を比較すると、マイナスの方が多くなる会社がありました。
社長個人としてもこれといった資産がないので、奥様が社長を相続をすれば損をしてしまうことが予想されました。
会社の経営がとん挫し(その予兆はすでにあり)、廃業することになれば、借金が残ります。
そして、その残った借金は相続人に請求がまわって来ることになります。
このような事情から、奥様は相続放棄をする方向で話が進んでいました。
ところが、です。
あるとき奥様は「亡くなった主人を相続します」と、宣言をされました。
これには驚きました。
そして本当にそれでいいのか確認しました。
しかし奥様は、社長を相続をすることによるマイナス面もハッキリ理解されています。
なぜ、そんなリスクを冒してまで相続をするのでしょうか。
曰く「主人は、死ぬまで会社の再建に執念を燃やしていたから」とのこと。
その意を受け、自分が社長に就任して、前社長が成し遂げられなかった会社の再建に取り組むというのです。
社内のキーマンたちも、共に精一杯頑張りますと励ましていました。
この件で資産や借金による損得しか見ていなかった自分を恥じました。
同時にアドバイザーの立場として、奥様を止めなくていいのかという戸惑いもありました。
また、亡き社長と同じビジネスパーソンとして、また事業者として、僕はこんなに人を動かせるほどの熱意をもって働けているのか疑問に思ったりも・・・
こんな複雑な心境を抱きつつ、奥様の選んだ答えを受け入れました。
外野の人間が、ご本人が覚悟を決めたことに口を出すのは野暮な話です。
どうしてか分かりませんが、奥様の決断にありがとうと言いたくなりました。
これからの会社経営が上手くいきますように。