僕が運営しているひょうごエンジンの第14回目となるミーティングに、
ちまちま工房の“ながたちさ”さんをお招きしました。
ながたさんたちは、赤の他人でありながら、
商店街の豆腐屋を継いだグループです。
第三者の事業承継であり、今どきの言い方だと継業になります。
その奮闘は僕の著書、
『今ある会社をリノベーションして起業する』
でも取り上げさせてもらっていました。
イベントでは、豆腐屋を継ぐことになったいきさつや、
仕事を教わっていたときの様子をお聞きしました。
集まってくれた参加者が一番衝撃を受けたのは、
事業継承の過程での先代とのやり取りでしょう。
仕事を習いながら共に働く期間がしばらく続き、
そして、いよいよ事業継承のフィニッシュというところで
紆余曲折あったのです。
ちまちま工房の件では僕も相談を受けつつ、
支援をしていたので、
この頃のことは覚えています。
なんとなく先代は、
自分が長年やってきた豆腐屋を明け渡すことを
消化しきれていなかった気がしていました。
それでは駄目だと思っているがゆえに、
自分に対してもイライラしているような。
何十年もその仕事をしてきたのだから、
当然なのかもしれません。
結果、ながたさんたちに対して
嫌な言い方をしてしまったことなどもあったようです。
それでも最後はうまくいきました。
ながたさんたちの場合、豆腐作りの師弟関係と、
対等であるべき経営面の話をする人間が別だったことが、
幸いしたのだと思いました。
これが同一人物だったら、
言いたいことを言えなかったりして、
どこかでとん挫していたとしても
おかしくありません。
一般的なケースでは、このケースのように関係者が複数いて、
役割が分かれていることはありません。
すると後継者は、
事業承継の過程で起きるストレスを
一人で受けなければいけません。
やはり、
事業承継には間に入る人間が必要であって、
その人の力量によって成否が左右される可能性が高いと思うのです。