僕が『今ある会社をリノベーションして起業する~小商い“実践”のすすめ』
を出したとき、
母校の就職課にアプローチしました。
「大企業や公務員になることだけが進路じゃなく、
小さな会社で働くことや街で生きる道もある」
と、伝える機会をもらいたかったのです。
そのときの就職課の方の反応は冷めたものでした。
話を総合すると
「そんなことをしても就職課のポイントになりません」と。
彼らの立場からすれば、
名の通った会社に学生を入れることが
ミッションなのですね。
少し寂しく思いました。
最近は少し風向きが変わったような話も聞きますが、
どうなのでしょうか。
大企業主義はそんなに変わらないんだろうなとも思います。
手元に追手門学院大学で経営学を教える神吉先生が書いた
「小さな会社でぼくは育つ」という本があります。
小さな会社で働くことのメリットや、
そんな会社での仕事のやり方を教えてくれる本です。
今なら、僕は学生さんに話をできなくていいから
「この本を読んでください」と言います(笑)
人というのは、
環境がが難しくなるほど、
保守的な姿勢を取りがちなようです。
就職でいえば、より大きなところへ。
名の通ったところへ、と。
そっちの会社のほうが潰れにくいと思うのでしょう。
そこには入れれば逃げ切れると
考えるのかもしれません。
世の中が変わるのだから、保守的に無難な道を行く。
この姿勢を当然だと思いますか?
僕はどうもそう思えないのです。
保身に走ることで、
かえって生き抜くための力を失う結果に
なるんじゃないかなぁ・・・と。
おせっかいですけどね。
大きい会社は確かに
つぶれる可能性は低いのかもしれません。
しかし、どんなに会社が大きかろうが、
つぶれるときはあります。
会社は存在し続けても、
あなたが辞めさせられるかもしれません。
そして、前の会社で得た経験は
他では通用しないかもしれない危険があります。
その会社内でしか通用しない仕事のやり方があるようだし、
時代が動いても大きな会社ほど体質は変わりづらいでしょう。
急に社外に放り出されたときに
やっていける力があるのかちょっと不安です。
ビジネスの世界において、
どんなときでも生き残れる人って、
どういう人でしょうか。
仕事を創造できる人だと、僕は思います。
たとえその時やっていた仕事がなくなっても、
また新しい仕事を作ればいい。
会社がつぶれても、やめさせられても、
その時は作ればいい。
こうなれたら無敵です。
では、こんな無敵の力に近づくのは
大きな会社で仕事をすることか。
それとも小さな会社か。
いろんなことができる(やらざるを得ない)
小さな会社の仕事に軍配があがるような気がします。
世の中が変われば、
また新しい価値を自分たちで作らなければなりません。
自分の手でつくろうとする
DIY的な姿勢が必須でしょう。
すでに建築などでDIYが流行っています。
そこにはコストを抑えたいとか、
自分で作って愛着を感じたいという理由は
もちろんあるでしょう。
同時に、
「自分たちの創る力をもう一度呼び戻さなければいけない」
という潜在意識を持っている人が
増えているのかもしれないと僕は考えます。
これまでの仕事は
うまく効率的にやることが大切でした。
でも、それが通用しなくなってきて、
個人的にも、
新しいものを作り直す必要を感じることが多くなりました。
そこでDIYスタイルなのです。
分業や専門化が進み、
僕たちにには分からないこと
できないことが増えました。
それでは不安だし、
新しいものを創造することはできません。
最初は下手でも
自分の手でやってみるしかないのです。
このDIYスタイルに近いのは、
大きい会社と小さい会社のどちらでしょうか。
不透明な時代にどうやって働き、学べばいいのかを
この本は教えてくれます。
先が見えにくくなると、保守的になります。
でも不確かな世界に果敢に挑めば、
創り出す力が手に入るはずです。
その力を手にできれば、
どんな時代の変化があっても
対応できるのではないでしょうか。
いつもそう思って仕事をしています。
不確だからこそ挑もう。