中小企業の事業承継について論文を書いているという方から取材を受けました。
その方は、「日本の99%は中小企業だから、それを無くてはならない」という意見を持っていらっしゃっるようでした。
その流れで「М&Aで小さい会社が大きい会社にどんどん買い取られていくのもよくない」と。
大きな会社が寡占する世界より、小さな会社がたくさんある多様性の世界のほうがいいと感じていらっしゃるのでしょう。
僕もまったくもってそっちの方がいいと思います。
ハワイのワイキキに行ったときは、同じ店ばかりがいくつもあって驚きました。
日本でも、郊外のロードサイドなどでは、ナショナルチェーンばかりで、どの街も同じ景色になっています。
こんな無個性な状況よりは、いろんな種類の店や会社がある世の中の方がいいな、と個人的には思います。
ただ、小さい会社がたくさんある状態を正しいものとし、政策などでコントロールしようとしたら、やりすぎなんじゃないかと思います。
不自然な作為を働かせると、世の中の風通しが悪くなります。
こういうケースが生み出してしまうマイナスって、実は思ったよりも大きい気がしています。
現段階では「会社が減っていくのを無理に止めようとしないでいい」と思っています。
変に力を加えてバランスをいびつにするよりは、自然な営みに任せたほうがマシだろうと。
あくまで現段階での結論で、この先、すぐに考え方が変わってしまう可能性は否定できませんが・・・
なお、廃業を悪だとも思っていません。
ただし、廃業の仕方によって、悪い廃業はあると思います。
ダメなのは、周囲に迷惑をかけまくるとか、ですね。
会社が減っていくのは仕方ないというスタンスです。
ただ、どうせ廃業するならば、その会社を運営するチャンスを他の人に回してほしいと願います。
会社減少を仕方ないとするスタンスとこれは別の話のはずです。
「誰かこの会社継がない?」って聞いてみて、誰も手を揚げないなら仕方ない。
でもそのチャンスを他者に公表しないで無くなってしまうのだったら、残念でなりません。
廃業数を正確に知るのは難しいのですが、年間10万や20万の会社が無くなっているそうです。
これを「毎年10万もの会社が減っている」という悲痛な話で終わせてはもったいない。
「第三者でも事業を手に入れる10万のチャンスがある」というふうに文脈を変ていきましょう。