事業承継前の銀行への根回し
とある神奈川県の企業の事業承継支援をしていました。
こちらの会社は息子さんが後継者です。
いよいよ代替わりということで、奥村が計画を練らせていただきました。
今日は、その計画のひとつである銀行との事前の話し合いです。
お金を借りている以上、声をかけておくべきでしょう。
あちらとしては、何の前触れもなく勝手に社長交代を進められたとなれば、不愉快に感じて当然です。
借入のある地銀2行と信用金庫1行を、社長と後継者と共に訪問しました。
個人保証外しの依頼
今回の訪問には、根回しという意味の他に「個人保証の解除」という目的もありました。
後継者は「個人保証があるなら会社は継がない」というほど弱気ではありませんが、やっぱり外せるならば外しておきたいところです。
財務状況的には微妙なラインかと見ていました。
『経営者保証のガイドライン』ができ、たしかに世の中的には社長の連帯保証を免除する方向に風が吹いています。
しかし、どの会社でも外せるかといえば、そんなことはありません。
やっぱり財務内容が良好で、信用に値する会社である必要があります。
最近、経営者保証コーディネーターという役割を担っている現場の方に状況を聞いたことがあります。
「依頼があっても、実際に個人保証を外せるのは2割。
6割は財務改善が必要で、残りの2割は倒産間際の案件だと……」
やっぱり、そんな生やさしいものではありませんね。
銀行から概ね了解を得る
話し合いのほうとすれば、どこも良好な雰囲気で話ができました。
社長を交替するということについて、歓迎ムードです。
結果はまだ確定ではありませんが、個人保証のほうも前向きに受け取っていただいています。
ちなみに奥村は『経営者保証のガイドライン』を使わなかったのかという点ですが、使っていません。
ひとつは手間が増えことを面倒に思ったためです。
別に、ガイドラインを使わなければ保証を解除してもらえないわけでもありません。
むしろ、普通に話をしてみて、ダメだったときの次の手として使ってもいいくらいに考えていました。
このあたりは、事業承継における経営者保証ガイドラインについて解説したこちらもお読みください。
⇒「事業承継の『経営者保証に関するガイドライン』をぶっちゃけ解説」
コンサルタントがいる隠れたメリット
なお銀行との話し合いでは、いろいろと要求されることがありました。
「退職金で金融商品を買ってくれ」
「ウチで制度融資を使ってほしい」
こんな感じで。
こんなちょっと強引な売り込みも、外部支援者の奥村が入っていることで、上手にかわすことができました。
社長には「奥村がダメっていうから・・・」や「奥村に任せているから自分には判断できない・・・」と言っていただくようにあらかじめレクチャーしていました。。
他人のせいにできるということは、実は外部人材活用の隠れた大きなメリットだったりするのです。
個人保証外し後日談
事業承継を経て、すべての債権者から、新社長の個人保証の免除の内諾を得ることができました。
成功の要因ひとつに交渉のやり取りの巧みさがあったと思います。
暗にライバルとなる他行の存在を匂わせつつ、競争原理を働かせる工夫をしました。
もう一つは、銀行からの後継者への信頼感の構築です。
奥村は後継者と一緒に、しっかりと事業計画を作りこみました。
よくあるようなただの数字合わせでなく、本当に使えるレベルのものです。
そんな事業計画を通じて、考え方や態度を銀行へ表明したことで、後継者への評価が高まったことは間違いないでしょう。
うまくことが進み、ホッとしました。
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