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担保物件の任意売却でそのまま自宅に住める?

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担保物件を任意売却して自宅を残したい

 

兵庫県神戸市に自宅を持っている社長さんがクライアントです。

物件には、会社が銀行から借りた借金の抵当権が付けられています。

今回の案件では、
なんとか事業を生き残らせようとはしているものの、
銀行への返済はすでに断念せざるをえない状況です。

 

銀行への返済ができなくなるとどうなるでしょうか。

原則は、自宅を『競売』にかけられてしまいます。

いわば裁判所が主催するオークションにかけられ
一番高値をつけたどこかの誰かが買い落としていくのです。

 

競売の銀行的なデメリット

この競売、実は銀行にとって
望ましい結果ではない場合があります。

まず、競売だと時間がかかります。

昔よりもかなりスピードアップしましたが、
やっぱり民間事業者の感覚からすると遅いところです。

 

また、本来の価値よりも安く買われてしまうことも多いでしょう。

競売のイメージはよろしくなく、
変なことに巻き込まれてしまうかもしれません。

たとえば不法に占有している人がいたら、
どいてもらうために大変な苦労をかけさせられてしまいます。

そのようなネガティブな面もあり
競売で不動産を買い落そうとする人は限られます。

ひいては売却価格が下がり、
銀行としたら自分たちの債権回収額が減ってしまうのです。
「銀行に強制的に自宅を奪われた」
という悪評がたつのもできれば避けたいところでしょう。

クリーンなイメージを保ちたい業種のはずです。

 

任意売却が成立する理由

上記のような理由から、
銀行はできることなら競売を避けたいのが本音でしょう。

ならばどうすればいいか。

裁判所外で売るしかありません。

そして、裁判所が関与しないで自宅不動産を売るには、
現所有者が自ら売却してくれなければいけないのです。

 

このようなケースで現所有者自ら自宅を売却する行為を
競売に対すて『任意売却』と呼びます。

裁判所を通さずして所有者が買主と契約を締結して売買する点では、
普通の不動産取引となんら変わりません。

異なる点は、自宅を売って得たお金を返済に充てても
借金を払いきれないことです。

しかし、それでもいいのです。

銀行としても借金を返済してもらう額がふえるのですから。

 

任意売却で自宅に住み続けるには?

任意売却は、自宅不動産の所有者が自らの意思で売却します。

自らの意思で売却するということは、
買主を選ぶ余地が所有者に発生します。

そこで、もし 自分を助けてくれる人に
買ってもらうことができたらどうでしょうか・・・?

たとえば、
友人や親族に買い取ってもらいます。

そのまま賃貸契約を結び家を貸してもらえれば
引越しをする必要はなくなりますよね。

冒頭のクライアントとは、
こんな落としどころを探っています。

高齢の社長なので、
いまさら住み慣れた家から出て行かせるのも
忍びないものがあります。

家も質素なものですし。

うまく協力者が見つかり、
任意売却の条件がそろえばいいのですが。

 

銀行がそんな売買を認めるかという点が
引っかかる方がいらっしゃるかもしれません。

基本的には銀行とすれば
「売値さえ正当なら売ってもらってOK」
というところでしょう。

ただし、買主が子供などの近親者であることが分かる場合は、
拒まれるときがあります。

彼らのコンプライアンス上の問題に引っかかるのでしょう。

このような親の家を子供が買い取って守ろうという場合は
『親子間売買』という方法もあります。

 

 

【奥村聡の関連サイト】

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『事業承継・廃業相談室』

会社分割等の分社手法を使った会社再生や事業承継、組織再編について

→『会社分割ドットコム

 

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この記事を書いた人

奥村 聡(おくむら さとし)
事業承継デザイナー
これまで関わった会社は1000社以上。廃業、承継、売却・・・と、中小企業の社長に「おわらせ方」を指導してきました。NHKスペシャル大廃業時代で「会社のおくりびと」として取り上げられた神戸に住むコンサルタントです。
最新著書『社長、会社を継がせますか?廃業しますか?』
ゴールを見すえる社長のための会【着地戦略会】主宰

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