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女性社長が44年続けた会社を本日卒業


事業承継のお手伝いをしている会社の女性社長さんより、「無事に引き継ぎができました」と連絡をいただきました。

会社の代表印などを後継者たちに引き渡してもらい、株式の譲渡契約書に調印もしてもらえたはずです。


社長は、本日をもって退任することとなります。



後継者は、お子さんと、そのお子さんが経営する会社です。

そちらの会社から数名が経営者として出向してくることになっています。



M&Aから事業承継へ


社長さんとのお付き合いはもう一年半以上となりました。

私が出ていたNHKスペシャルをご覧になった社長が、こっそり連絡くださったのがはじまりです。


いくつか事業を営んでいた社長ですが、会社の整理や相続の準備がいっこうに進んでいません。

相談する人はいるのだけど、全体を見渡して計画を立ててくれる人がいない、ということです。

奥村が関わりはじめたことで確実に前に進むようになり「気持ちが楽になった」とお話されていました。




今回引継ぎをした会社は一番メインの会社でした。

実は当初は、M&Aで他社に売却しようとしていたのです。




お子さんに「継ぐつもりある?」と聞いたところ、「それは無理」と断られたという過去がありました。


そして1年ほど前に、取引先の社長と「後継者がいない」という話をしていたところ、「ウチで買わせてもらえませんか?」という展開になったのでした。

私は売り手のアドバイザーとして、資料を整理したり、先方との交渉を開始していました。




ところが、事態は急転。

M&Aに動いていることを知ったお子さんが、「会社を継ぎたい」と言い出したのです。

承継を断った当時とは違い、今ならばこの会社を引き受ける人的、資金的な余裕があるということです。


社長としては、やはり気心が知れた人に会社をやってもらえるほうが安心だということで、M&Aの話は丁重にお断りをさせてもらいました。



ここからは身内への承継話と変わります。

株を誰にいくらで、どうやって譲るか。

銀行への根回しは、個人保証は。

従業員にどうやったらうまく受け入れてもらえるか。

退職金はいくらにするか・・・


いろいろと手を考え、実行してきました。


後継者の個人保証を外せた!


特に既存社員さんの感情面には特に気を使いました。

次期社長はお子さんであるものの、自分の別の会社の経営もあるためこちらの会社には100%でコミットできません。

そのため別の方が社長代理のような立場で会社にやってくることにしたのですが、微妙な立ち位置となります。


またある意味で、お子さんの会社が親会社、こちらの会社が子会社という立場に置かれる面もあります。

このあたりは、既存の社員さんにどのように受け取られるか。

不安があるなかで、お互いのことを理解し合えるような取り組みを強く心がけました。



あと特筆すべき点としては、事業承継のタイミングで銀行の借金の個人保証をすべて外すことができました。

事業承継の顛末の報告のため、社長と私で各銀行を回った際、個人保証の解除もお願いさせていただきました。

どの銀行も快く応じてくれた次第です。


経営者保証に関するガイドラインができたことは、追い風となったのでしょう。

しかし、ガイドラインがあっても個人保証を外してもらえないケースは、ちまたにたくさん転がっています。

やはり、これまで社長が培ってきた信用のおかげなのは間違いありません。


社長歴40年以上


手元の直近の決算書をながめると、表紙には43期と書かれていました。

今日は会社の決算期でもあるので44期が終了したことになります。


ということは・・・

社長は創業者なので、44年も社長を続けてこられたということです!

本当に頭が下がります。


会社を卒業することになった社長の感想はいかなるものでしょうか?


うれしいのか、ほっとしたのか。

それとも寂しいのか。

今日は訪問できなかったので、次回のコンサルティングの時に聞いてみましょう。

ひとまずは、おめでとうございました。

そして長い間お疲れ様でした。


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この記事を書いた人

奥村 聡(おくむら さとし)
事業承継デザイナー
これまで関わった会社は1000社以上。廃業、承継、売却・・・と、中小企業の社長に「おわらせ方」を指導してきました。NHKスペシャル大廃業時代で「会社のおくりびと」として取り上げられた神戸に住むコンサルタントです。
最新著書『社長、会社を継がせますか?廃業しますか?』
ゴールを見すえる社長のための会【着地戦略会】主宰

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