相談の申し込みがあった件で、
とある会社にお邪魔してきました。
会議室に通されてビックリ。
10人ぐらいの方が並んで座って僕を待っています。
普段は、社長をはじめ
2、3人をお相手に話をするケースばかりなので
人数の多さに驚いてしまいました。
その日に僕を呼んだのは会社の
従業員の皆さんです。
なんでも
「社長が会社を分社すると言い出した」
とのこと。
急にそんなことを言われてもどうしていいか分からず、
戸惑ってしまったというのです。
たまたま僕の本を見つけ、
話を聞いてみようということになったようです。
社長にはお会いしていませんが、
僕が推測するに次のような事情があったように思います。
会社は大きく、事業エリアも広い。
創業者の社長は持ち前の馬力で、
ワンマンで事業を拡大してきた。
ただ、年齢を考えるともう事業承継まったなし。
しかし、適任の後継者はいません。
自分の代わりを務められるような人材を
見つけ出せなかったのでしょう。
そこで分社です。
今の会社をコンパクトなサイズの会社に分け、
それぞれを運営させます。
今の大所帯をマネジメントするのは不可能でも、
コンパクトな会社ならば
社長が務まるだろうという考えです。
コンパクトなので経営権の承継もしやすいはずですし・・・
たぶん大きな間違いはないと思います。
普段は社長側で分社を使った戦略を描いているので
そのあたりはよくわかっているつもりです。
僕が社長側のアドバイザーになっていても、
同様の策を献上したかもしれません。
今回いつもと違うのは、
それが従業員さんからの視点だということです。
確かに寝耳に水だったでしょう。
これまで普通に勤務していたのに
「自分たちで会社やれよ」と
突然バトンを渡されることになるなんて・・・
分社するとだけ宣言され、
その先のビジョンや進め方を
伝えてもらっていませんでした。
このあたりは、もうちょっと上手くできた気がします。
僕は従業員さんからの質問に答えながら、
分社とは何か、自分たちで会社をやるには
どんな準備をするかなどをお話しました。
そして、ケースごとの
策にまでまとめることもできました。
何度も強調したのは「受け身ではダメ」ということ。
社長サイドからの提案や条件提示が来るのを待っていたのでは
後手を踏んでしまいます。
「もう自分たちでやっていかなければならない」
という意識をもって、
「どうやったら会社を継続できるか」を考え、
準備しましょう、と。
この会のリーダ―的役割の方が、
最後にこう言っていました。
「事業を継ぐんだと思っていたけど、
むしろ会社を創るという感じなんですね」と。
そうなのです。
この姿勢が本当に大切なのです。