「子会社の社長が失踪したので急ぎで相談したい」と。
世の中はすでにお盆期間ですが、ひとまずお会いして話を聞いてみました。
親類でもあった子会社の社長は突然失踪したとのことで、詳細はよくわかりません。
それでも会社に大きな借金を残しているのはたしかなようです。
また、下請け先への買掛金の未払いが溜まっているようです。
相談に来た親会社の社長としては、
「この負債の責任を親会社が負わなければいけないのか?」
さらには、
「自分が個人としてもどうにかしなければいかないのか?」
をとても心配していました。
こんな疑問はよくあるのですが、押さえておかなければならない法的な原則です。
まず、人格が異なれば責任を負うことはない、というのが原則になります。
たとえ子会社であっても、親会社とは別の(法)人格です。
だから原則的には、親会社が子会社の借金の返済義務を負うことはありません。
ただし、注意。
世の中理屈だけで通用するほどあまくありません。
風評や信用の問題、人間関係、今後のビジネスの継続を思えば、法律論をかざして勝ったつもりになっていると足元を救われたりします。
机上の理論しか見えていない人のアドバイスを真に受けると、怖かったりするのはこんなところです。
同様に、株式会社と株主、株式会社と社長の関係でもそうです。
会社の借金に対して、株主は返済の責任を負いません。
また、自分が経営する会社の借金だからと言って、社長が個人資産を投げうってまで返済する義務はありません。
これが原則です。
だから銀行は中小企業の社長を逃さないように、個人保証を取っているのです。
事業主ならば、まずこんな法律の原理原則をおさえてください。
そして、危機に対する対応力を磨いていただきたいところです。
ここまではお金を借りている側の視点で見てきましたが、もしあなたが逆の立場だったらどうでしょうか。
たとえばこのケースで、あなたは子会社に対して貸しがある会社の社長だったとします。
原則どおりだと、相手にお金を支払ってもらうことはできません。
危機をいち早く察し、「どうやったらウチの支払いから逃れられないようにできるか」を考えな実行しなければいけません。
この先は知恵比べ。
セオリーはないかもしれません。
いずれにせよ、まずは原則が分かっていることが大切ですね。
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