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相続税・自社株式の株価への対策は?

目次

社長の相続税と株価対策は?

相続税や株価対策について考えてみましょう。

この分野は税理士などにより、
すでにたくさん論じられています。

語りだせば膨大な量となってしまうでしょう。

そこで事業承継研究所では、
分かりくいこの分野のポイントをさっとつかめることとを重視し、
税の細かな計算式などは使いません。

考え方のセンスを身につけていただき、
下手な手を打たないようになっていただくことを
目的とします。

 

相続税と株価対策の全体図

まず話の全体像をつかんでいただきましょう。

広い意味での相続税対策です。

その相続税対策は3つの対策に分かれます。

①遺産分割 ②納税 ③節税の3つです。

それぞれ、
「遺産をどうやって分けるか?」
「税金を納めることはできるか?」
「税金の額を減らせないか?」
というテーマです。

後ほどもっと詳しくお話します。

さらに事業承継に特有の
「株価対策」というものが存在します。

社長の持っていた自社の株式が、高騰する場合があります。

たとえば、会社の資産がたくさんある一方で、
負債がほとんどなければ株価が上がります。

そうなると相続税が大変になるので
株価をコントロールしようと試みることがあります。

これが株価対策です。

先の相続税対策の3本柱の中では
「③節税」の分野の中に含まれていて、
株価を下げることで相続財産の総額を減らし、
ひいては納める相続税の額を減らそうという試みです。

「今は相続税対策のどこの話をしているのか」を
意識するようにすれば、
頭の混乱を減らせると思います。

 

相続税対策について

相続税対策の3本の柱について見て行きましょう。

 

遺産分割対策

まずは遺産分割です。

「相続税対策になんで遺産分割が?」
と思われる方もいるかもしれません。

しかし、どんなに税金を減らそうと努力しても、
相続の争いになってしまったら損害はそれ以上になります。

スムーズに遺産分割ができるような準備が
一番大切な相続対策です。

遺産分割の分け方次第で相続税を減らすことも可能です。

例えば配偶者に相続させれば
税の控除があるのでその分減らせます。

遺産分割を相続税の申告期限までに終わらせることで
税の特典を使うこともできます。

 

《遺産分割対策の例》

●遺言を使って分け方を決めてしまう

●現金等の分けやすい財産の割合を増やしておく

 

納税対策

次に大切なことは納税対策です。

一般的に相続税を減らすことばかりに目が行きがちですが、
税金を支払えるお金があることはもっと重要です。

節税ばっかりして、肝心の納税資金がない・・・
なんてことではまさに本末転倒。

納税資金を確保できていれば
心理的な安心にもつながります。

 

《納税対策の例》

●生命保険を使って納税資金を作れるようにしておく

●会社から納税資金を借りられるようにしておく

 

節税対策

最後が、税金を減らす取り組みである「節税対策」です。

相続税対策といえば節税のことだと思う方も多いはずです。

有名なところでは生前贈与を使って税金を押さえながら、
子などに財産を移行させることでしょう。

相続時の財産そのものが減るのだから、
納めるべき税額も減ります。

また、個々の財産における相続税上の評価の違いを
利用することもあります。

代表例はアパートを建てることでしょう。

一億円の現金を持っているのと、
一億円で収益用のアパートを建てたのでは、
一般的に後者の方が税金を減らせます。

評価の方法が変わるため、
相続財産を減らす効果が出るのです。

 

《節税対策の例》

●現金を不動産にする

●土地にアパートを建てる

●生命保険に入り非課税枠を使う

●仏壇や墓を買う

●生前贈与をする

●自社株の株価を引き下げる

 

株価対策について

ここまでは相続税対策に共通するお話でした。

さらに事業承継特有の株価対策を考えてみましょう。

株の評価を下げることで相続財産を減額し、
相続税を少なくする目的です。

 

純資産価額方式と類似業種批准価格方式

事業承継での株価算定には、
「純資産価額方式」と
「類似業種批准価格方式」が採用されます。

前者は、会社の財務内容に注目した評価です。

一方の後者は、事業内容が類似する
上場会社の株価を基にして計算する者です。

このサイトを読んでいただいている方は
小さく、社長が大株主の会社の関係者が多いでしょう。

「純資産価額方式」が採用される場合が多いはずです。

 

株価の引き下げ方

この方式の場合株価は「資産-負債」で計算されます。

ということは株価を下げたければ
資産を減らせばいいことになります。

たとえば退職金を社長に支給すれば、
現金が減るぶん資産は減ります。

また、財産の内容を別のものに変えることで、
資産の評価を減らせるときがあります。

時価よりも評価が低い土地や建物に投資するなどが
その一例です。

会社によっては「純資産価額方式」ではなく、
あえて「類似業種批准価格方式」で評価される形式を作ることで
株価を引き下げることができる場合もありそうです。

 

社長の相続対策で忘れて欲しくない大切なこと

相続税と株価の対策についてさらりとお話してきました。

さらに対策を進めていくには、
税理士を雇って話を詰めていく必要があるでしょう。

その時に大切にしていただきたいスタンスをお伝えします。

 

遺産分割が最優先

まず繰り返しになりますが、
税金を下げるよりも、遺産分割がスムーズであることが大切です。

遺産分割を上手にクリアするということは、
関係者の気持ちをマネジメントするということと
類似した意味かもしれません。

損得ばかりに目が行くと、つい抜け落ちそうなところです。

人の心の問題は厄介で、
無下に扱うとどんなしっぺ返しを受けるかわかりません。

 

株式はむやみに分けない

株式を分けたほうが遺産分割がしやすかったり、
節税につながる場合もあるでしょう。

だからといってそうしてしまえば、
後継者の会社運営の安定性を欠きます。

株式は後継者に集めることが原則です。

なお種類株式などの法的なテクニックを使って、
この論点の解決をしたがる専門家もいますが、
あまりおすすめしません。

シンプルをこころがけ、
分かりにくいことは極力避けるべきです。

 

節税に走りすぎない

「とにかく削れる税金は削りたい」と
目を奪われる人がいるかもしれませんが、考えものです。

節税に走るばかり納税用のお金が無くなっては意味がありません。

また節税への取り組みがリスクを高めるケースが多々あります。

節税目的のアパート経営がその最たるものでしょう。

「節税になります」の言葉に乗せられてアパートを建ててみたものの、
いつしか予想していた収益が得られなくなって
苦しむ大家はたくさんいます。

ほどほどのところでよしとした方がいいのでしょう。

 

会社を危うくしない

事業承継にからみ、納税資金を作るために、
会社で自社株を買わせたりするようなケースがあります。

「株価を下げよう」と無理な取り組みを
してしまっているケースだってあるかもしれません。

そのおかげで相続税が減額されたり、
納税できたりするかもしれません。

しかし、それで会社を潰してしまったら
笑い話にもできません。

会社まで巻き込んだスキームは、
事業承継の会社の財務内容を悪化させたり、
流動資産を減らすことになり得るので
その採用は慎重にしなければいけません。

 

税理士だから、と信じない

税金対策のパートナーをどの税理士にするか。

税理士という肩書だけで選んではいけません。

たくさんの税理士が世の中にいますが、
相続税の仕事をコンスタントにやっている人は
そんなにいなかったりします。

公認会計士の資格によって税理士も開業している人の中には、
税務が弱い人がいてもおかしくないでしょう。

大手の会計事務所となると事業承継の専門として
資産税の部署の人間が出てくることが多いはず。

しかし、彼らは相続税ばかりをやっていて、
会社のことには疎かったりすることもあるのです。

下手な相続税対策で会社を危うくしかねません。

資格ではなく、相手を見極めて選ばなければいけないのです。

 

→ 社長の相続対策・遺言作成支援

 

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この記事を書いた人

奥村 聡(おくむら さとし)
事業承継デザイナー
これまで関わった会社は1000社以上。廃業、承継、売却・・・と、中小企業の社長に「おわらせ方」を指導してきました。NHKスペシャル大廃業時代で「会社のおくりびと」として取り上げられた神戸に住むコンサルタントです。
最新著書『社長、会社を継がせますか?廃業しますか?』
ゴールを見すえる社長のための会【着地戦略会】主宰

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