革製品の加工・販売などを行う株式会社シアフルの
山川社長と同社のマネージャーさんへの顧客インタビューです。
Q.奥村に声をかけた理由は?
山川:義父がやっていた会社がリスケジュールをしていましたが、
それでも状況が厳しく、
会社を閉じる準備が必要だと思っていました。
そんなとき奥村さんのところのホームページを見つけて。
当時は「社長のおくりびと」というキャッチコピーが書いてあって、
「どういうこと!?」って(笑)
会社のリノベーションの事例を読んで、
希望の光が見えて、相談を持ちかけました。
Q.相談してみてどうでしたか?
山川:「なんとかなります」と言われてビックリしました。
負債は大きくなっていたし、
「現実的には難しい」と言われると思っていたので・・・
味方になってくれる人ができて、精神的に救われました。
マネージャー:どこに何を相談していいか分からなかったので、
奥村さんに会えて安心できましたね。
的確にアドバイスをもらえました。
山川:やっぱり一生懸命やってきた会社を
残せる可能性ができたことが、
ビックリもしましたが、うれしいことでした。
マネージャー:そうなんです。
毎日「どうしよう、何か策はないか・・・?」って
悩んでいましたから。
でも具体的な成功の実例があって、
お会いしたら頼りながらやれば大丈夫だと思えて。
そのときの気持ちは忘れられません。
ここ数年「この先どうなるんだろう」と悩んできた思いを
わかってもらえる気がしました。
Q.具体的にどんな取り組みをしましたか?
山川:数字のシミュレーションをしながら、
将来に起こりうることへの準備をしました。
会社の資金繰りが尽きたときの計画を練ったり、
先代社長の相続などに備えて遺言を作ったり。
ただ、すぐに義父の会社をたたむ必要があると
考えていたわけではありません。
Q.山川さんが起業することになったのは?
山川:いろいろ先代と意見が合わなくなり、
僕が会社から飛び出すかたちになりました。
そもそも自分で創業するつもりなんてなかったので、
他の会社に就職をするか、起業をするかで悩みました。
奥村さんからはこんなアドバイスをもらいました。
「前の会社のためだったら起業は止めたほうがいい。
自分で会社をやりたいかどうか」だと。
結局、やれるだけのことをやってみようと決意して
シアフルを立ち上げました。
Q.自分の会社を作ってからは?
山川:自分が担当していたお客さんの移行は順調にできました。
一人で企画と販売だけをやっていたので、
経営面ではなんとかかなるだろう、と。
そのときはむしろ、義父の会社の動向が気になっていました。
当初は2、3年はもつだろうと思っていたのですが・・・
マネージャー:私は山川の会社には移らず、
前の会社に残っていました。
そんなとき外注に出した海外メーカーが
大きな不良製品を作ってしまったのです。
すでに、資金繰りのために社長の個人的なお金は持ち出していて、
余裕はまったくありません。
でも、「今ならお客さんに迷惑をかけないで済む」と、
会社をたたむ方向にむかいました。
社長の体調がすぐれなくなっていたことも考慮して。
会社の清算を弁護士に依頼することになり、
既存の事業をシアフルが引き継ぐかどうか、
という議題になったのです。
山川:想定外でしたから・・・
製造業の厳しさは分かっていたので、
そこまで自分の会社でやれるのか不安になりました。
ただ、奥村さんが言っているように、
僕も会社は人の居場所だと思っていました。
このまま事業を引き継がないと、
スタッフさんがどうなってしまうか、と。
また、奥村さんが事業を引き継ぐメリットとデメリットを
整理してくれたので判断がつきました。
かなり安く機械などの製造設備を引き継げる、とか。
前の会社よりもコンパクトなかたちですが、
製造もやろうと決めました。
シアフルで引き継ぐお客様には、
社長の体力の衰えによる引退と
事業引継ぎの経緯をお伝えしました。
マネージャー:実は、私は前の会社を辞めて
別のところで働くつもりでいました。
でも、会社が傾くスピードが思いのほか速く、
私が抜けると会社の整理ができなくて迷惑をかけてしまうと…
そんなとき、山川も製造の事業を引き継ごうか迷っていて、
「シアフルに来てもらえない?」と誘ってもらって、
移ることにしました。
「なるようになれ」って気持ちで、同じ船に乗ろうと(笑)
Q.前の会社から製造を引き継いでからは?
山川:お客さんはついてきてくれたので安心できたのですが、
先代社長との関係が難しく…。
先代にはシアフルのスタッフとして
力を貸してもらいたかったのですが、
想定外のことばかりが起きました。
先代と二代目が一緒にいるのは難しいのですね。
今どうにかやれているのはスタッフの力のおかげです。
前と同じように仕事をしてくれて感謝しています。
マネージャー:私は、負債が少ない会社ってこういう会社なんだ、
と晴れやかな気持ちになりました。
経理をしてきてはじめて味わった感覚です(笑)
Q.事業の引継ぎが終わった後の奥村との関係は?
山川:奥村さんは守備範囲が広いので、
いろんなこと相談させてもらっています。
たとえば、ブランドを立ち上げようとしているときがありました。
そのときに、その背景や信念みたいなものの大切さなんかを教えてくれて、
すごいなって。
自分たちが、前社の時代に取り組んだブランドづくりが
いかに薄っぺらいものだったか思い知りました。
マネージャー:会社の数字も見てもらえて安心だし、
先代社長のケアまでしてもらっています。
Q.今後のシアフルについては?
山川:大きな企業を目指しているのではありません。
革の魅力を伝えながら、
身の丈にあったところで
お客さんもスタッフも僕ら役員も
幸せな会社にしたいと思っています。
草食的なかもしれませんが。
そのためにブランドづくりなども成功させたいですね。
マネージャー:山川が「お金じゃない」と言ってきた意味が
最近よく分かるようになってきました。
気持ちが先で、お金は後からついてくると。
前の会社では「とにかく売り上げ」でしたからね。
不安もありますが、
自分たちがやりたかったことを試せるというワクワク感があります。
お客さんとの対話と
製品のクォリティを重視しながらやっていけば、
信頼は得られるという手ごたえを感じています。
山川さん、マネージャーさん、ありがとうございました。
(おわり)