コンサルティング先の社長さんが、元気で、上機嫌でした。
去年の夏にはじめてお会いしたときは、もうお通夜みたいな顔をしていたのに・・・(笑)
うれしいですね。
最初の相談は、「廃業しようかどうか悩んでいる」というものでした。
まだ引退するには若いけど、商売はこのところ右肩下がり。
借金も増えている。
「こんな状況で誰かに事業承継させるわけにもいかないし、このままでは廃業するしかしかない」と。
僕は、たしかこう答えました。
「廃業はいつだってできる。
もう一回、商売を立て直すことにチャレンジしてみませんか?」と。
それ以来、ご支援をさせていただいています。
自分たちの商売のあり方や使命の見直し。
ビジネスモデルや戦略の設計。
受注率改善のための営業ツールの作成。
こんなことに取り組んできました。
数か月前から取組の成果がはっきり現れてきたようです。
それにともない社長も元気になられました。
このお客さんとの仕事で、あらためて「スタンス」が重要だと感じました。
たしかに、ビジネスモデルを組み立てたり、営業ツールも作りました。
でも、きっかけだったにすぎません。
それらを作りながら、自分たちの立ち位置や使命、大切にしなければならないことを確認できたからこその好調なんだと、確信しています。
社長は語っていました。
「売り上げが下がっているときは、売らなければいけないと思って、一方的に話をしてしまっていた。
でも最近は、しっかり、じっくりとお客さんの話を聞けるようになり、堂々と提案をすることもできるようになった」と。
結果、受託率は大幅に高まり、安売りをしないで済むようにもなっています。
少し前までは、求められてもいないのに「本当は100万円だけど、今なら80万にします」というレベルの営業でした。
根本からやり方を変えました。
しっかりと状況やニーズを聞き取り、なんでそれを私たちが提案するのか、どうしてその値段になるのかを誠実に伝えるようにしました。
適切な価格設定をしているのだから、値引きという概念もありません。
ごねるお客さんのために値下げするということは、最初の価格をストレートに受け入れてくれた良いお客さんへの裏切りです。
こんな姿勢を徹底し、だんだんと売れ始めました。
お客さんは納得して買ってくれます。
会社としては受注率が向上しているから、落ち着いて堂々と商売ができます。
するとお客様がより信頼を感じてくださり、もっと売れるように、と。
好循環が起きていきます。
もちろん、ようやく先が見えてきただけで、本当の意味での復活はまだ先です。
ここで気をゆるめてはいけません。
再浮上の根っこにあるのは、自分たちの『スタンス』です。
軸足がしっかりしたから、いい商売ができるようになったのです。
上っ面な手法やテクニックばかりに目が行きがちですが、ここのところを見落としてはいけません。
商売がうまくいかなくなったとき、まず問うべきは『自分たちがどうあるべきか』でしょう。
こんなあるお客さんの事例をご紹介いたしました。
ちなみにこの変革をレクチャーしてきたのは僕で、事業承継支援をなりわいとする人間です。
「ここまでやっているの?」と、驚かれる方もいるかもしれません。
「こんなの事業承継の範疇ではない」と感じる方だって多いかもしれません。
でも、経営そのものまで関与しなければならないケースはかなりあります。
法律手続や会計の話だけでどうにかなるケースなんて、逆に、ほとんどありません。
中小企業の事業承継では、経営まで含めたいろんな要素が絡まっているので、全体を取り扱わなければ本当に効果的な仕事はできません。
これに対応するには、かなりのパワーが必要なのですが・・・