事業承継を含めた経営支援に取り組んでいる資格業の方々と話す機会がありました。
そこで「銀行とかも『事業承継支援をしている』と喧伝するようになったけど、実際のところはどうなの?」という話題に。
その場の結論を先に申し上げると、「どうかなぁ」と腑に落ちないことをやっているケースが多いようです。
たとえば、どこの会社に対しても同じスキームを提案しています。
「持株会社を作りましょう」的なやつが代表例でしょう。
提案された策がハマる会社ならばいいのですが、当然、全ての会社に有効なわけではありません。
でも、会社の状況を見て提案しているわけではなさそうです。
全体像を見てから導きだされた策ではないので、優先順位が低かったり、他の問題とのバランスを欠いているときもあります。
私人としての社長の問題にまでは踏み込めないので、相続や資産というテーマは未解決になるケースもありそうです。
本来は、公私の両面を視野に入れて対策を練らなければ意味はないのですが・・・
こんな感じで、どうにも有効な支援をできているわけではなさそうです。
「結局、銀行は融資が出せれば何でもいいんだから」
その場にいたご意見番の一言が、すべてを物語っているのかもしれません。
会社の状況は、会社ごとに千差万別です。
だから、僕が事業承継の策を講じて提案する際は、各社ごとで内容が異なります。
準備にすごく手間がかかるし、頭も使います。
本当の意味でのコンサルティングは、実は非効率だったりするのでしょう。
銀行のような大きな組織になると、一社ごとにオーダーメードで対応なんてしていられません。
中に深く踏み込んで仕事をすることもできません。
能力的な問題もあるだろうし、なにより効率よく稼ぐことが至上命題です。
ならば、コンサルティングをパッケージ化して、どの会社にも同じものを提案するのもある意味であたりまえのことでしょう。
とはいえ、それは銀行側の都合でしかありません。
提案される側の会社の立場となってみたら、事業承継のよい相談相手やガイドとは言えないと思います。
なお、銀行自体が事業承継を扱うのではなく、他者を紹介している場合も巷ではあるでしょう。
そちらでもあまり状況は変わらないのかもしれません。
紹介する先の力量は不確定だし、紹介者の銀行の顔色を見ながら仕事をされるのがオチでしょうから。。。」
「だったら、銀行の提案なんて聞かなきゃいいだけじゃないか」
こう思われる方もいらっしゃるかもしれません。
本当にその通りなのです。
しかし、やはり銀行は強いのです。
信頼を感じている社長は多いですし、お金を貸している相手ならば発言力が増します。
組織力で会社を囲い込むこともしています。
僕らが何を言おうが、蚊に刺されたほどの影響も与えられないでしょう。
銀行の事業承継コンサルティングを受けていると、社長には、なまじ「ちゃんと事業承継に取り組んでいる」という意識も芽生えてきます。
そうなると、「本当にその提案を受けていいのか」立ち止まって考えることは難しくなります。
専門家からのセカンドオピニオンも耳に届きません。
なんとも書いていてむなしくなってきます。
愚痴みたいになってしまいましたが、ひとまず、パッケージ化された提案には気を付けましょう。
本当にうちの会社に合うのか疑ってかかるのがよいでしょう。