2021年4月6日の日経新聞に老舗の廃業の記事がありました。
創業230年の東京・柴又の料亭が廃業したと書かれています。
コロナ禍の直撃で宴会や観光客の需要が消失してしまったとのこと。
「まだ今は債務返済を考える余裕がある」
融資で資金をつないでも売り上げが戻らなければ債務だけが膨らんでしまいます。
このままでは倒産に追い込まれかねない。
そんな危機感から廃業を選んだようです。
「たしかになぁ」と納得する半面、「もったいないなぁ」とも感じました。
自分の身を守るのは当然です。
自分の資産を守る。
破産を回避する。
当然の考えです。
外野は当事者の気も知らず、言いたいことを言ってくれます。
そんな奴らの意見なんて聞く意味はありません。
鵜呑みにして傷を負ったとしても、誰も助けてくれなければ、責任も取ってくれないのですから。
廃業というケジメの付け方について私は、拙著『社長、会社を継がせますか?廃業しますか?』で詳しく書かせていただきました。
もちろん廃業を選ぶということについての理解が、土台にはあります。
仕方ない選択肢であり、また、勇気をもって廃業の道を進んだ方に拍手を送りたいとも思っています。
しかし、です。
やっぱり価値ある事業ならば、それを無くすのは惜しいところ。
作り上げるには時間がかかりますが、無くすのは一瞬です。
実は、借金がどんなに大きかろうが、事業は残せたりするものです。
私は、会社の過大借金対策や経営再建も手掛けることがあります。
会社を立て直せるか否は、借金の額で決まるわけではありません。
借金の額よりも、事業の力です。
価値ある事業なのか。
利益を出していける事業なのか、です。
利益さえ出せる事業ならば、借金を切り離して残すことができます。
極論言えば、利益を出し続けるような価値ある事業を作ることは大変ですが、過大な借金についてはどうでもできます。
私はこのような視点を持っているので、新聞記事のような将来の債務超過を恐れて廃業してしまうのは「もったいない」と感じる面もあるのです。
今後、再び利益を出せるようになるならば、借金はどうにかできるのに・・・と。
その場で粘るか、撤退するか。
判断は難しいです。
一律で「こうすればいい」とマニュアル化できるほど、問題は単純ではありません。
単純化した結論を求める姿勢は危険です。
それぞれが置かれている環境は違うし、縛られている条件も違います。
当事者の意思や価値観も人それぞれですから。
まずは簡単な話ではないということを謙虚に受け止めましょう。
悩むのは当然です。
よろしければ一緒に悩ませていただきます。
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