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不動産売却か、新業態チャレンジか?


事業を閉鎖して、この不動産を売却するか。

そてとも新業態にチャレンジして可能性にかけるか。


今日は、顧問先の社長さんたちとこんなテーマで議論をしました。



現状この事業は赤字です。

建物は立てられてから年数が経っているため設備の痛みも目立ちます。


そこで「事業の閉鎖と不動産売却で損切りをしてしまう」というのが一案です。


もう一方は「業態転換をして再び利益を出せる事業にすることを試みる」という案です。

それこそ、今流行の事業再構築補助金を活用も視野に入ってきます。




本当に難しい局面です。

どちらを選べば正解と言うことはありません。


アドバイザーである僕の立場としては、リスクや可能性を整理してしっかりと決断をしてもらうことが、この段階での重要な役割となると認識していました。

特に当事者だと見落としたりしてしまいがちな感情の傾向に注意します。


当事者である社長たちには、この事業を作ったときの想いがあります。

そこにいる社員さんとの関係もあるでしょう。

また、売却するとなれば「担保を付けている銀行にどういったものか」という面倒が潜在意識の中に湧いてきたりもします。


一般的に、人の感情として、損失は先送りする傾向があります。

このケースであれば、不動産を売ることは損失が確定することになるので、どうしてもその判断は避けようとしがちです。


また、これまで費やしたお金や労力を回収したいというサンクコストの問題も影響を与えます。

このあたりは心理学的な世界となりますが、社長たちにはこんな人間心理の傾向を押さえてもらったうえで判断をしていただこうと試みました。


たとえば、まだ不動産を売りたくないという様子が見える社長に対し、
「社長はもしゼロからでもその事業をやりたいと思いますか?」
と質問します。

「いや、もしゼロからだったら他の地域で事業をやるよ」

「ということは、過去の投資がもったい無いと思うから売りたくないんじゃないですか」

「たしかに、そうかも・・・」

こんなイメージのやり取りをしながら心理傾向に気づいてもらい、できるだけフラットな状態で判断してもらおうと試みました。



その場での方針はほぼ決まりつつありましたが、もう一度社長が心を落ち着けて考えてみることになりました。

さてどうなるでしょうか。

いずれにせよ議論はそこまでで、あとは社長の決断の実行に専念するつもりです。




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この記事を書いた人

奥村 聡(おくむら さとし)
事業承継デザイナー
これまで関わった会社は1000社以上。廃業、承継、売却・・・と、中小企業の社長に「おわらせ方」を指導してきました。NHKスペシャル大廃業時代で「会社のおくりびと」として取り上げられた神戸に住むコンサルタントです。
最新著書『社長、会社を継がせますか?廃業しますか?』
ゴールを見すえる社長のための会【着地戦略会】主宰

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