相談とは、相手に殺生与奪権を渡してしまうこと。
言い過ぎではないのかもしれません。
過去から数えきれない相談を受けてきた奥村は、相談への考えの甘さや、行為の誤りを日々痛感しています。
「税理士が相談相手にならなくて」
私のところに相談に来る方からよく聞かれる言葉です。
同意できるときもありますが、そもそも顧問税理士さんに相談を期待すべきことだったのか、と疑問に思うこともあります。
例えば独立を考えるサラリーマンが、先輩社員に起業の相談をします。
でもその先輩には起業の経験もなければ、その知識もありません。
相談相手にふさわしくないのは一目瞭然です。
でも、こんな相談相手選びの誤りはちまたにはあふれています。
「うちのクライアントなんて、ホームページやチラシの相談まで僕にしてきますよ。普通、税理士が分かるはずないんですけどね(笑)」
ある税理士さんからは、こんなことを聞いたこともあります。
はたして、あなたの抱えている問題について、相手は相談に乗れる能力を持った相手でしょうか。
もっと大切な問いは、そもそもその相手は人として大丈夫なのか?です。
能力というより、人間性や傾向の問題です。
たとえば、自分に分からない質問をされたときに、分からないと言える人か。
専門家(っぽい人)の中には、体面を保とうと、適当にごまかしたり、ウソを言う人がたくさんいます。
「自分には分からない」「自分は知らない」と言ってくれる人ほど、実は安心だったりするのです。
また、相手に裏の動機が働いている場合も多々あります。
たとえばM&A専門業者に、「事業承継で悩んでいる」と相談すれば、なんだかんだ会社を売る方向に話を誘導するものでしょう。
また、クライアントを銀行から紹介してもらった税理士ならば、その銀行の特になるように話を進めようとします。
こう考えてみると、純粋に相談者のメリットのために相談に乗ってくれる人は、本当はほとんど存在していないのかもしれません。
ちなみに奥村は、純粋に相談を受けられるように自分を置こうと努めています。
そのために、相談可能な有料会員制度を運営したり、第三者に影響されないよう、仕事はダイレクトな依頼にこだわっています。
でも、この価値はなかなか分かってもらえないのでしょう。
日本人には「相談なんて無料で当然」という感覚が根付いてしまっているので・・・
すいません、愚痴ってしまいました。
ここで一度、相談といういう行為の重大さを考えてみていただきたいところです。
相談は、相手に弱点をさらすことになります。
ゆえに、その気になれば、相談を受けた人間は自分が望む方向へ相談者を進ませることもできるでしょう。
悪意を持たれていたら、大変なことになります。
だからと言って、相手を警戒して壁を作ったら、相談は全く機能しなくなってしまうのですが・・・
何かを相談するというのは、かなりリスクが高い行為なのです。
ところが、ふさわしい相手かは考えずに、ただ相談しやすいからその人に相談している。
必要な意見を言う人ではなく、自分を気持ちよくしてくれる人を選ぶ。
こうとしか思えない相談相手選びを目にします。
一方で、相談ができないタイプの人もいます。
自分抱えている問題を相手にさらしたくない。
話をするのが面倒だ、と。
これはこれで、本来もらえるべき助けを受け取れなかったり、タイミングを逃して問題をより悪化させたりしてしまいます。
残念ながら、多くの人はてきとうに相談をしています。
相談という行為を安易に捉えています。
でも、そうそうじゃない。
相談を受けることをプロとしてやってきた人間は、断言します。