先日、お客様のM&Aの案件が無事に成就しました。
売り手も買い手もとても素晴らしい会社で、双方に喜んでいただくことができました。
M&Aに売り出すとすぐにお相手が見つかり、それからあっという間にゴールイン。
交渉中もほとんどトラブルなし。
驚くくらいトントン拍子で進みました。
でも、売り出すまでの時間はかかりました。
М&Aの決断をするまでに社長はかなり悩み、時間をかけて検討していました。
また、M&Aに本格的に着手する前に会社分割もしました。
不動産等を手元に残したいという社長の希望を叶えるため、不動産と事業を分社したのです。
この手続きにも数ヶ月要しました。
売る前の準備や検討には、時間がかりました。
しかし今となっては、そういった下積み時代のような時間が長かったから、その後が加速できたような気がしています。
成約後に、売り手と買い手、そして私たちアドバイザーが参加したお祝いの食事会がありました。
その席で、買い手の会社の社長はこんなことを言っていました。
「M&Aは、間に入るアドバイザーが超重要。
どんなに売り手と買い手が良くても、アドバイザーがダメだから成約に至らないケースだってある」
買い手の会社は、2,3年も買える会社を探してきたそうです。
たくさんの案件を紹介され、たくさんのM&Aアドバイザーとやり取りをしてきました。
しかし、ずっと上手くいきませんでした。
アドバイザーというのは、売り手と買い手の間に入ってM&Aの話をまとめるコーディネーターとでも考えていただければいいでしょう。
その「アドバイザーが原因で上手くいかなかったケースも多かった」と言うのです。
間に入って、ただの伝言ゲームをしてしまうアドバイザーがいたり。
レスポンスが悪すぎるアドバイザーがいたり。
売り手をまったくコントロールできていないアドバイザーがいたり……
売り手と買い手で別のアドバイザーが付いたケースでは、売り手の温度感やニュアンスをまったく感じ取れなかったそうです。
それでは、うまくいくはずない、と。
買い手の社長が言いたかったことは、私にもよく分かります。
本当にM&Aアドバイザーの力量や人間性が案件の成否を左右します。
そして力量や配慮が足りないと感じる人がたくさんいます。
こう考えると、M&Aをするにおいて、自分でアドバイザーを選べないというのは大きなリスクです。
M&A会社はよく「どのM&A会社を選ぶかが大切です!」なんて営業トークをしています。
でも、会社は選べても、アドバイザーを選べないケースがほとんどでしょう。
組織の中には優れたアドバイザーもいるのでしょうが、そうでない人はそれ以上にいます。
仮にアドバイザーを選べたとしても、外の人間には誰がいい人かはわかりません。
ちなみに、組織の人間というのは属する組織の意向に従わざるを得ません。
私が関与していた件では、期限内に数字を作らなければいけないため、M&Aアドバイザーが強引に話を進めようと暴走したケースもありました。
ここにも自分でアドバイザーを選べない場合のリスクがあります。
手前みそですが、最近ウチが手掛けるM&Aは、とてもいい感じでやれています。
スタート時点では奥村が社長とじっくり相談しながら、実行の可否の判断や、希望を実現するための作戦を立てます。
会社を売り出しはじめるときは、信頼できるパートナーにも入ってもらい、買い手探しなどを受け持ってもらいます。
スピード感や小回りの良さという面で、私がひとりで背負うよりベターだからです。
このスタイルが、上記のようなM&Aアドバイザーの抱えるよくある問題点や不備を補えているのでしょう。
繰り返しになりますが、M&Aの成否はアドバイザー個人の力量がものをいいます。
会社を売ることを考える社長さんは、自分でアドバイザーを選ぶという点を意識するといいと思います。
人柄やスキル、経験、情熱あたりが注目ポイントとなるでしょう。
逆に、誰が自分の案件を担当するのか分からないような状況は、避けたほうが無難だという結論にもなります。
選ぶべきは会社ではなく、人です。
かつては、買い手候補のリストを持っていることがM&A会社の強みでした。
会社を欲しがっている相手を先に押さえているから、会社を売却できる可能性が高く、早いという理屈でした。
でも、今はポータルサイトなどでも広く買い手候補の会社を探せるようになっています。
「大きいから」とか「知名度があるから」で、M&A仲介会社を選ぶ必要はもうないのでしょう。