第三者に会社を継承させようと思うなら・・・
血のつながらない相手に会社を譲る場合の
アクションプランを考えてみましょう。
相手が第三者であることにより人としての関係性や、
法律上の立場の違いなどを意識しておきたいところです。
①事業継承の相手を見つける
まずは事業継承の相手を見つけなけることがスタートです。
従業員や幹部社員などの社内スタッフが
後継者候補になる場合があります。
また、社外にいるまったくの第三者を
見つけてこる場合もあるかもしれません。
②本当に会社を譲渡していいのか?
第三者への事業継承における一番のポイントは
「社長の覚悟」だと感じています。
本当に会社を引き継がせていいのでしょうか?
第三者に対してドアを開けて会社を残していこうとしていただけることは、
事業継承に従事する人間としてうれしいことです。
しかし、その交渉過程において
優柔不断な態度をとる社長に
うんざりさせられる場面が多いのも事実です。
「君に継がせてもいい」と言っておきながら、
突然「止めることにした」と翻意したり。
第三者への承継話が進んでいるのに、
「やっぱり子供に継がせられないか・・・」と言い出したり。
当初は「500万円出してくれたら会社を譲ってもいい」という話だったのに、
後だしで「最低800万にします」と・・・
相手の出方を見てもっと搾り出せる思ったのでしょう。
自分本位で話や条件を捻じ曲げる社長がいました。
これは僕に言わせれば最低なことです。
関係はこの一事を持って終了してしまうでしょう。
相手は第三者なので、信頼や好意がより重要となるのです。
またご本人の評判に
著しく傷をつけることにもなってしまいます。
自分の人生そのものだった会社を手放すことに
感情の整理が難しい面があるのでしょう。
しかし、譲ると一度決めたからには、
それを心に決めて実行しなければいけません。
③承継条件の決定
社長と後継者となる第三者の間で基本合意ができたら
事業継承の諸条件を詰めていきます。
「税金は?」とか、細かいところが気になるかもしれませんが、
まずは大枠から決めていきます。
どの範囲を承継させるか?
通常は会社の株式を譲渡することで事業を譲渡させます。
個人事業ならば事業譲渡で、
資産やお客さんをまとめて譲るのでしょう。
でも、必ずしもすべてを譲る必要はありません。
一部の資産や事業を手元に残して、
他の部分だけを第三者に譲ることもできます。
本社の不動産物件を持っているため
会社をまるごと継承させると株価が高くなって
後継者には支払えなくなるケースがありました。
このときは不動産を残して残りの事業だけを譲渡させました。
本社用の物件は引き続き利用し、
以後、社長に賃料を払うことにしています。
どうやって継承させるか?
たとえば株式を後継者に譲渡するとします。
その金額はいくらでしょうか。
また、払い方は一括なのか分割なのか。
場合によっては遺言を使って
相続時に譲渡される仕組みを作ることだってできます。
借金、保証、税金・・・
借金はどう処理するのか。
先代社長の個人保証は外せるのか。
税金はどれぐらいかかるのか。
などなど、他のチェックしておくべき点も
忘れないようにしてください。
④計画立案
事業譲渡の条件が決まれば、
次は今後の事業承継計画を立てましょう。
事業を譲渡する時期やそれまでの行動目標をたてます。
後継者が社外の第三者ならば、
仕事を覚える時間も加味しておかないといけません。
⑤コーディネーターを雇う
他の承継パターンでもニーズは高いのですが、
第三者への承継の場合はより案内人たる
事業承継のコーディネーターがいたほうがいいでしょう。
優柔不断な姿勢ををってしまう社長が多いのは、
事前の意思確認や条件の精査が
できていないことによります。
また、デリケートな人間感情をケアしつつ、
お金や法律のことを詰めていくのは
当事者だけでやるにはかなり難しい取組みです。
専門的なノウハウをもった中立的なコーディネーターが
いるかいないかの差は大きいと感じます。