ずっと実現したかったけれど、できていないことがあります。
それは、社長に「戦略的、計画的に社長業をおえてもらえるようになること」です。
自身が引退する時期をあらかじめ見据えて、それまでに十分な準備をし、万全な態勢を作るようにしてもらいたいのです。
これが実現できれば、社長は皆スムーズかつ、納得できるゴールを迎えられるでしょう。
下世話な話ですが「老後資金をいくらくらいは確保しておきたい」といったお金のニーズを実現できる可能性も飛躍的に高まります。
ところが、そんな社長は世の中に皆無だと言っても過言ではありません。
皆さん、ギリギリになって焦り、選択肢を失って右往左往しているのが現実です。
たとえば、「会社はもうやめたいけど、今やめると借金が残るし、自宅を銀行に売られることになってしまうし……」のように、前にも後にも進めなくなってしまっているケースもたくさんあります。
事業承継だ、M&Aだという話ばかりが先行してしまっていますが、もっと社長の個人レベルの問題から見つめたほうがいいのでしょう。
社長はいつか社長を辞めるときがくる。
この事実を受け入れたうえで、対応したほうがいいのでは、と問いたいところです。
こういった“事前予防的”な取り組みを普及させることは、本当に大変です。
私はかつて、相続手続きのワンストプサービスを立ち上げたことがあります。
スタート当初は、起きてしまった相続の遺産分割や資産の名義変更の支援をしていました。
このサービスをやっていたことで、「やっぱり事前の相続準備が重要だ」と気づかされました。
それからは、遺言サービスの開発と普及に踏み込みました。
しかし、ここから先が、本当に大変です……
セミナーを何度も開催したり、広告も出したり、雑誌等に寄稿をしたり。
かなり努力したものの、その割に、仕事の依頼となって返ってきた数は、すずめの涙。
明らかに、利益率が低く、非効率でした。
いかに、「未来のことを考えていただくことが困難なのか」を痛感させられた経験です。
社長に、戦略的・計画的に社長を辞めていってもらうこともまったく同じです。
遺言の時よりも不利なのは、そもそもそういう概念すらないところからのスタートだということです。
発想の種を植えて、実際に行動という花まで咲かせることは、とんでもなく大変なことでしょう。
商売上の稼ぎの追求という意味から外れた方向性です。
でも、私はここに挑まなければいけない。
そんな使命感は常に持ってきましたし、今こそ、よりこの方向性に進んでいかなければならないと感じています。
というわけで、今年はいろいろ仕掛けていきます。
昨年リリースした「社長のゴールDVDシリーズ・廃業編」につづく第二弾、『M&A編』を撮影・販売するつもりです。
M&Aで会社を売り切ることを目的に、前もってどんな準備をしていけばいいかを伝える内容になるでしょう。
ここでもやっぱり、戦略的、計画的な姿勢なわけです。
“社長のおわり”について、楽しく学べるコンテンツの構想もあります。
起業の学びというものはある程度体系化されているようです。
であれば、その終着点である“社長のおわり”についての学びの体系があるべきでしょう。
そこで『社長をヤメる大学』の構想が生まれました。
当初は、オンライン上で、文章をメインとした記事コンテンツのプラットフォームのnoteで展開していくつもりです。
1月中旬からのスタートとなるでしょう。
コーチング的なアプローチで、社長のゴール設定とそれを実現するための計画立案を支援する『着地戦略コーチング』も開始します。
こちらは社長人生の終盤に差し掛かった方が、キャリアの仕上げをしていくためにオススメです。
まだ修正ができる段階から、準備を進めていけたらどんなにいいでしょう。
今年の前半は、このあたりに力を注いでいきます。
結局、いかに未来を見ようとするか。
そして、そこに労力や時間やお金を投じられるか。
これで人生の質はほとんど決まってしまうと言っても過言ではないでしょう。
奥村は、社長のみなさんに、納得の社長人生をまっとうしていただけるよう、戦略的・計画的な方向に寄与していきます。
本年もよろしくお願い申し上げます。