伝統工芸や地場産業の事業継承や廃業等を考える
伝統工芸や地場産業の「出口」を考えてみます。
伝統工芸や地場産業の事業継承は?
伝統工芸や地場産業はずっと右下さがりの状況が続きました。
私たちの生活様式や価値観が変わったことが大きいのでしょう。
それに対して、多くの伝統工芸や地場産業は、
変化に対応しようと動き始めたところなのではないでようか。
これから伝統工芸等の会社を継承してやっていくためには、
後継者の創造力や売る力が必須だと感じています。
名の通り伝統を重んじる業界なのでしょう。
しかし、消極的に「これまでどおり」で経営していたら
変化に取り残されてしまいます。
過去に学びつつ、未来を切り拓いていく姿勢が大切です。
自社ブランドの立ち上げ
他社とのコラボレーション
新しい販路の開拓
活躍している伝統工芸や地場産業の世界の会社は、
既存のしがらみにとらわレない発想で活躍しています。
ぜひ、次の会社のあるべき姿を見出してください。
成熟した産業であっても、
いや、成熟した産業だからこその商売上のおいしさは
きっとあるはずです。
財務内容に注意!
私がこれまでかかわった伝統工芸の会社で感じたのは、
財務内容が意外と悪かった点です。
老舗など、
産地の中でも有名どころの会社を
見させていただいたこともありましたが、
同様でした。
その理由をふたつ考えています。
ひとつは、金融機関が安易にお金を貸してくれたこと。
もうひとつは適当な経営をしてきたこと、です。
この2点は両輪だったのでしょう。
伝統工芸や地場産業という世界において、
昔は「なんとなく」で経営していても
続けることができました。
またそれに対し、
地元の金融機関も惰性でお金を貸してくれます。
地方に行けば行くほど、その傾向は高まります。
こんなルーズな関係が続き、財務内容は悪くなっていたのでしょう。
しかし、時代は変わりました。
思うように売れなくなりました。
金融機関も融資の目を厳しくしています。
事業承継を進めるならば、このあたりのことも
十分意識しておかなければいけません。
売るだけでなく、
社内の業務体制や管理体制などの土台も整えなければいけません。
あまりに借金が多いようならば、
そのまま承継させる愚を犯してはいけません。
分社の手法などを使い、
後継者が経営できるかたちを作ってから
継承させることも考えてください。
伝統工芸のМ&Aなら
М&Aの観点では、
伝統工芸や地場産業だからといって
会社を売りやすいということはないでしょう。
単純な投資視点で考えると、
儲からない業界、と見られてしまいがちです。
もちろん個々の会社を見ていけば、
特別な技術やお客さんを持っていることがあります。
その場合は前のめりな買い手が現れることもあるでしょう。
また、古いもの好きな人や、
こだわりのあるものが好きな人が世の中にはいます。
そういう人ならば採算度外視で
会社を買ってくれることもあるかもしれません。
伝統工芸とМ&Aで意識しておかなければいけないのが、
産地の再編の動きです。
伝統工芸の産地では、
産地として成立しなくなりつつある現実に
直面している場合があります。
たとえば焼き物の伝統産地において、
廃業が増えてしまい、
「産地内の釉薬を取り扱う会社が無くなってしまった」
といったケースです。
この流れは放っておくとますます進んでいくばかりでしょう。
それに対し、志ある会社などが、
つぶれていきそうな会社などを引き受けていく動きをしなければ
産地が無くなってしまいかねません。
比較的元気な窯元が、
釉薬の会社まで引きうけて残していくようなイメージです。
おそらくこうして産地の集約化は進んでいきくでしょう。
伝統工芸の廃業・清算なら
伝統工芸や地場産業であっても、
廃業は清算については特別な点はないと思います。
しがらみが多い傾向がある業界なので、
根回しや報告に気を付けておくぐらいでしょうか。
あとは、普通の製造業や卸業と同じはずです。
お願いしたいのは、
これまで述べたように産地を成立させ続けるための協力です。
もし、あらかじめ廃業の予定を知ることができれば、
産地の再編に取り組んでいる人や会社が
なんらかの手を打てるかもしれません。
もし事業をそこが引き継ぐことになれば、
それはあなたにとってもメリットになるはずです。
清算にかかる出費が削減されたり、です。
早めに、オープンに情報を開示していただければ幸いです。