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遺留分裁判で思った「対立しないことの大切さ」

弁護士さんに1000万円。

お仕事で関係したことがある方から「遺留分の裁判で訴えられている」という話を聞いていました。

この度その裁判が終結し、原告にお金を支払うことになったとのことです。

遺留分というのは、相続人に認められた最低限の取り分といったものです。

資産を所有する本人が、それをどう処分しようが原則当人の勝手です。

遺言で「長女に全財産を相続させる」と書くことだってできます。

ただ、そうなると「私も親の資産を相続できる」と期待していた次女を害してしまうことが起こり得ます。

相続を期待していて、しかも同じ子供なのに、次女は一切財産をもらえないとなったらかわいそうな面がありますね。

このようなケースで次女は遺留分として、一部の財産の相続権を主張することができるように、民法が救済措置を定めています。

私のお知り合いは、他のある相続人からこの遺留分の請求を受けました。

前交渉もなく、突然訴えらえたそうです。

寝耳に水の状態でした。

また、それまでのいきさつを聞いていると、その人が遺留分を請求するのは厚かましいと感じさせるものがありました。

法律上のロジックとしては、たしかに原告の主張は正しかったのでしょうが・・・

ここまでの話のなかでもツッコミを入れたいところがありますが、今回取り上げたいのはその後の話です。

裁判が終わり、僕のお知り合いは弁護士に報酬を支払うことになります。

着手金としてすでに500万円を払っていました。

さらに、裁判の終了による成功報酬としてさらに500万円支払う約束になっているようです。

こちら側だけで1000万円の裁判費用です。

裁判を起こしてきた先方もやはり弁護士を雇っています。

もしあちらも弁護士に1000万円を支払うことになっていたら、原告と被告の合計で2000万円の裁判費用がかかったことになります。

本来相続人間で分け合えた財産のうち2000万円が、裁判のために消えてしまったことを意味します。

ここが注目したいところです。

当人たちの対話で解決することはできなかったのか。

もしそれが可能だったら、分け合うことになる母数を減らさないで済んだのです。

弁護士の費用が高いかどうかは、僕にはわかりません。

裁判を手掛ける大変さなどを見てきたわけではありません。

ただ、それだけの費用を使ってガチンコで裁判をするぐらいならば、お互いが譲りあえば、双方はもっと大きな利益を得られたはずです。

それこそ2、300万円譲歩してあげたところで、裁判費用と比べれば余裕でお釣がくるレベルです。

この事例から、譲り合って解決することは双方の利益につながることに気づくことができます。

逆に、対立し合い、奪い合う関係になると、双方の利益の総数は減ってしまうという教訓です。

もちろん現実では、対話で解決できないケースだってたくさんあります。

対話が成立するには、お互いが心を開かなければならず、その前提としての相手への信頼が必要です。

また、話合いの流れをコントロールしたり、ときにルールや考え方を教えてくれる仕切り役のような人がいないと上手くいかない場合もあるでしょう。

(そうそう適任者はいないもの)

それでも「双方が譲り合って妥当な線を見つけることが、双方のメリットになる」ということをみんなで共有しておきたいところです。

遺留分や相続だけの場面ではなく、他のいろんな場面でも言えることでしょう。

対立構造にしてしまって、本来得られる利益を減らしてしまうのは実にもったいないことです。

ガチンコにやりあったときのマイナスはお金だけにとどまりません。

今回の例ならば、訴えてきた人は他の親族にもう顔向けできないでしょう。

何かあっても助けてもらえないと思います。

僕が知る別のケースでは、紛争で勝った人が、他の場面で仕返しされるケースがありました。

江戸の敵を長崎で討つ的な話ですね。

奪い合っちゃいけません。

譲り合うことは、双方の利益になります。

ではでは。

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この記事を書いた人

奥村 聡(おくむら さとし)
事業承継デザイナー
これまで関わった会社は1000社以上。廃業、承継、売却・・・と、中小企業の社長に「おわらせ方」を指導してきました。NHKスペシャル大廃業時代で「会社のおくりびと」として取り上げられた神戸に住むコンサルタントです。
最新著書『社長、会社を継がせますか?廃業しますか?』
ゴールを見すえる社長のための会【着地戦略会】主宰

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