今日もある地域の行政の担当者さんから事業承継についてご相談を受けました。
社会問題としての事業承継に対し、あらゆるところで何らかの手を打つことを求められているようです。
急にそんな使命を与えられても事業承継の現場のことが分かりません。
その結果、僕のところに声がかかるケースが多くなっています。
思えばこのテーマをずっと追っかけてきました。
また、資格の業務にこだわることもなく、深く踏み込んでもきました。
それだけに現オーナーの心理など含め、やっぱり現場の感覚は押さえられている気がします。
「起業が成功するか否かは、結局あきらめるかどうかの問題」
こんな話はよく語られます。
どこまでもしつこく粘ればいつか成功できる、と。
そういう面では、このテーマについてはものすごくしつこかった僕です。
いろんなアクションを試みましたが、根っこにあるテーマは同じでした。
自他ともに認める飽きっぽい人間ですが、不思議とこのテーマはあきらめずにやってこれました。
ただ、事業承継ありきではなかったのです。
僕の場合「社長のおわりに寄り添いたい」という気持ちからスタートしました。
社長になるのは簡単だけど、どうやって終わらせたらいいか分からない人がたくさんいることを知りました。
考えてみたらとても複雑で、とても難しいことです。
法律や税金だけでなく、経営面から、社長の心理的な問題まで関係してきます。
この現実に対し、終わりに伴走することでゴールまで社長を連れていくことを自分の使命に設定しました。
ゴールといっても、事業を誰かに引き継がせる事業承継だけではありません。
会社をたたむゴールだってあるし、ときに亡くなって終わりを迎える相続がゴールになってしまう場合もあります。
これら事業承継以外のゴールのすべてを含めて、背負おうと決意しました。
だから、今のように「奥村は事業承継の人」というラベルが貼られるのはちょっと違和感もあります。
もちろん継がせられることに越したことはないですけどね。
あと「社長のおわり」とか「会社をたたむ」などのネガティブだとされる言葉をよく使ってきました。
それに対し「縁起が悪い」や「クレームになる」といった否定的な言葉を聞くこともありました。
でもそれが現実だし、衝突を恐れてオブラートに包もうとしたらメッセージが正しく伝わらなくなると考え、スタンスを変えませんでした。
もちろんどう語るかなどには気をつかりましたけど・・・
おかげさまで、そんな表現も受け入れてもらえるようになった気がします。
「社長のおわり」と聞いて怒り出すような人はウチのお客さんにはいません。
むしろ「そいういうことからも目を逸らしっちゃだめだよね」と分かってくださる社長さんばかりです。
そんなところまで込みで、続けてきてよかったと思う今日この頃だったりします。