社保の滞納に基づく経営者へのプレッシャーがかなり強くなりました。
税金の滞納の取り立ては厳しい。
でも、社保の滞納は余裕。
ひと昔前は、これくらいの感覚でした。
「社保は税金じゃないからやさしい」なんて言われていた記憶もあります。
でも今は、税金と同等、いやそれ以上に厳しくなっているかもしれません。
先日、社保を滞納しているある社長から相談がありました。
なんでも一度、社会保険料の滞納をした際、分割払いの約束を取り交わしたそうです。
しかしこの度、期限までに、1か月分のお金を用意することができませんでした。
そして役所から「分割払いの権利をはく奪するから、残りを一括で直ちに払え」と要求されそうだ、ということです。
うーん、ここまでこじらせるとかなり苦しいところです。
で、ひとつ気が付きました。
常々、私たちのような専門家は「相談は早めに」と言います。
もちろん、その裏側には「相談が遅い」という事実があります。
相談をする側と、相談をされる側の感覚ギャップが存在しているのです。
このギャップを埋める言葉を見つけられずにもどかしい思いをしてきましたが、この相談がヒントをくれました。
相談をする側は、自分なりに動いたけれど、どうにもならないでお手上げになったときに相談に来ます。
一方、専門家から見ると、何か異変があったときには相談してほしいわけです。
このケースは下記のように進みました。
①社保の滞納
↓
②分割払いの交渉・約束
↓
③分割払いの失敗
そして、③の分割払いの失敗を経て、社長は相談をしてきました。
でも間違っています。
ここまで来たらどうにもなりません。
相談のタイミングは①の社保の滞納が発生した時点が正解です。
このタイミングならば選択肢がまだ残されています。
どんなに遅くても②の分割払いの約束を役所と交わしたところで、「もしこの分割払いに失敗するようなことがあったらどうなるか。そのためにどんな備えをしておくか」を相談しておくべきだったことでしょう。
ところが、分割払いの約束を引き出し、時間稼ぎができたところでこの社長は一安心してしまったのではないでしょうか。
のど元過ぎればなんとやら、です。
異変があったときに、すぐ相談。
頭の中に置いておいていい教訓ではないでしょうか。