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いつから社長の引退、事業承継や廃業の準備に入るか?

「このまま組織を拡大させてもいいのでしょうか? 自分の引退を視野に入れると考えてしまいます・・・」

ある弊社のVIP会員さんからご相談がありました。
組織の拡大という風呂敷を広げることと、自分の引退準備。
この2つの方針は相反する意味合いもあるので、たしかに悩ましいものですね。

今回のセッションでは、このような結論になりました。

「自分が引退する予定の時期の3年前までは、純粋に組織のために良いことをすればいい」

たとえば、自分が65歳で社長をやめようと考えるならば、62歳までは会社の成長を優先させる。
逆に62歳になったら引退のための準備をしていく、という意味合いです。

3年くらいかけると、事業承継や廃業、M&Aという「会社の着地」の準備にちょうどいいと思います。
たとえば、3年後のゴールを目指して、社内の後継者とすり合わせをするとか。
3年後の廃業を想定して、人材の採用を控え始めるとか。
M&Aで会社を売るための下準備にも、3年という期間はちょうどいいと感じます。

「事業承継には10年前から動け」なんて説もあります。
株価の高い会社の事業承継で、少しずつ税金対策をするといいというのが、主張の根拠だったりするのでしょう。

たしかにできればいいのですが、理想論に過ぎないようにも感じます。
税金や株価の対策をしようにも、まず確実に後継者がいて、確実に会社を承継するということが決まれなければできません。
でも、10年先のことなんて今決められるでしょうか。
やっぱり無理があるように感じてしまいます。

適度な緊張感をもって、集中的に準備をするめるにも3年という期間はいい塩梅な気がします。


ちょっと蛇足になるかもですが、3年前から「組織にとって良いこと」という結論になっている点も言及させてください。
「組織の拡大」だとは言っていないのです。
ここには、組織の拡大が組織にとって必ずしも良いこととは言い切れない、というニュアンスが込められています。

VIP会員さんからは「組織を拡大させてもいいか考えている」と相談がありました。
でも、本当にそうすべきかはチェックが必要です。

たとえば今の人材不足の世の中で、組織の拡大ありきで人を集めようとしたら、採用コストが過剰になったわりに能力が低い人しか集まらない、という結果になるかもしれません。

過疎地域にあるため顧客が減少するケースもあるでしょう。
それなのに組織の人員を増やしたら、過剰人員になる恐れもあります。

さらに、社内の体制が整っていないのに組織ばかり大きくなったら、いずれ崩壊してしまいます。
この場合、「組織にとって良いこと」は拡大ではなく、社内整備です。
あえて人員の増加を止めるべきでしょう。

着陸態勢に入るまでは、組織を育てることに注力することは間違っていません。

いい会社になれば、うまく着地できる可能性が高まるし、選択肢だって増えます。
もし今だと廃業という結末しか見えない会社も、組織がレベルアップしたらM&Aや社内承継の芽が出ることもあるのです。

〜お知らせ〜
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この記事を書いた人

奥村 聡(おくむら さとし)
事業承継・廃業コンサルタント

これまで関わった会社は1000社以上。廃業、承継、売却・・・と、中小企業の社長に「おわらせ方」を指導してきました。NHKスペシャル大廃業時代で「会社のおくりびと」として取り上げられた神戸に住むコンサルタントです。

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