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第13回 プランBはいぶし銀の役者

いよいよ次回は卒業式。通常の講義は今回でおしまいです。みなさん、よくがんばってくださいましたね。

ヤメ大でも、卒業制作、卒業論文にあたる課題があります。

あなた自身の戦略、計画の立案です。会社をどうやって着地させるのか。社長引退も含め、自分はどんなふうに人生を設計するか。これまでの講義で学んだことを活用して考えてみてください。

すでにある程度は社長をやめるときのビジョンを描いていただいているはずです。講義中にそのための質問を紹介しました。

「自分はこんなふうに社長を引退したい」

「こうやって会社を着地させたい」

望ましい理想の姿を思い描き、そこから、理想を現実とするための計画を練っていただきたいところです。

目次

その通りにならない計画を立てる意味

「計画なんて立ててもその通りにならない」

計画を立てる立てないの話になると、必ずと言っていいほどこのような意見が聞かれます。

たしかに計画は、立ててもその通りになることはほぼないでしょう。ビジネスプランや事業計画を立てた経験がある方ならば経験したことがあると思います。

みなさんに卒業制作として作っていただきたい、会社の着地計画や社長の引退計画でも同様です。社長が「俺は60歳になったら社長をやめる」と言い続けても、実際は、その通りにならないケースの方がずっと多いのです。

では、計画通りにいかないからといって、計画を立てることに意味がないか。

そんなことはありません。

計画を考えることが未来に備える機会になります。この先に待っているであろう問題に気づき、手を打っておくことが可能になります。

なにより計画を立てておけば、望む未来が出現させられる可能性が高まります。

計画通りになるかどうかに終始に終始するようでは、それはただの予想です。計画ではありません。

計画というものは「こうなりたい」という意志があり、それを実現させるための具体的な行動を伴うものです。意志と行動がエンジンとなって、あなたの思い描くビジョンの実現を推し進めます。

いかがでしょうか。少しは計画を練る意義をお伝えできたでしょうか。

本当の計画というものは、具体的なものです。地道で汗臭いものだと個人的には感じます。

ところが世の中には「夢を語っただけの計画」があふれているのも事実です。頭の中のお花畑を計画と勘違いしたもの。「こうなったらいいのに」という希望的観測を描いただけのもの、と。

捕らぬ狸の皮算用で、なんの根拠もないのに売上が毎年10%ずつ増えていく経営計画なんて、その典型でしょう。

こんな計画だったら立てる意味はありません。むしろ逆効果なのではないでしょうか。この手のニセモノの計画を見せられると、正直そう思わずにはいられません。

売れない会社を売り続けるドロ沼

計画を正しい姿勢で立てたとしても、目標を実現するために頭をフル回転させ、実際に行動を起こしたとしても、それでも結果が出ないことはあるはずです。

現実は甘くありません。

そこで私は「Bプラン」の併用を強く推奨します。

通常の計画(Aプラン)が、理想の実現のためのものであれば、Bプランは、Aプランが実現できなくなったときのバックアップ用の計画です。より現実的な選択肢ともいえるでしょう。

戦でたとえると、敵を攻略して領土を奪うことがAプランであれば、戦に勝てなかったときにどうするかがBプランです。撤退の方法などをあらかじめ練っておくことで、判断の遅れを防ぎ、兵の温存を図ることができます。

あなたの会社着地や引退計画においても、プランAが破綻したときのための、現実的な選択肢たるプランBを用意しておいてほしいのです。

ある社長は、M&Aで自分の会社を売っている最中で、私のところに相談にきました。

話によると、3年近く売りに出しているが、まったくと言っていいほど「興味がある」と手があがらないとのことです。

もちろんM&Aをやっているあいだも、事業を継続させなければいけません。ところが利益が全然出ていません。大赤字と言ったほうがいいでしょう。会社の運転資金を尽きさせないために、社長の個人資産を取り崩している状況でした。

「会社が売れない。このままでは会社がつぶれてしまう」という相談だったわけです。

私の見立てでは、そもそもM&Aをやろうとしたことに疑問があります。

だってこの会社、資産に比べて負債が大きすぎます。しかも、このところ毎年赤字です。さらには斜陽産業であって、立地は過疎地域。こんな会社を買いたいと思う人が現れるとは思えません。
今は何でもかんでもM&Aをすればいいという流れが強くなっています。この社長は、当初、公的な経営相談窓口を訪ねたようですが、やはりそこでM&Aを薦められたそうです。私にすれば、何を考えているのか、という感じです。会社の数字を見て、本当にそれでも売れると思ってアドバイスしてるのでしょうか。

まあたしかに「あなたの会社は売れません」「おとなしく廃業したほうがいいです」なんて、なかなか言えません。勇気と自分の仕事への使命感が必要です。
結果、バ○の一つ覚えで「M&Aしましょう!」という助言ばかりが世の中に氾濫するようになっています。

こんな背景があって、周りは希望を持たせるようなことばかりを言います 本人にもだんだんと欲が出てきます。これが厄介なところです。

百歩譲って、M&Aへのチャレンジは悪くなかったとしましょう。

たしかに絶対はありません。もしかしたらこんな会社でも、買いたいという相手が現れる可能性はあったのかもしれません。チャレンジしてみなければ、結果はわかりません。

でも、やるならば、ダメだったときにどうするかまで考えておくべきでした。これがBプランです。

「M&Aで買ってくれる相手を探す。しかし、6カ月経っても売れなかったときは、廃業に方向転換する」

こんな感じで、Bプランまで用意できていればドロ沼から脱出することができたはずです。

この会社の場合も、もっと前にM&Aに見切りをつけていれば、温存できたものはありました(温存の話は以前しましたね)。しかし粘り過ぎたことで、全滅を招くような結果に終わってしまったのです。

M&Aは、会社の着地の一つの手法でしかありません。本当の目的は、会社の着地問題に決着をつけることだったはずです。一つ目の手が失敗に終われば、すぐに次の手を用意するのは当然のこと。道を拓くためには、本当の目的を達しようとする粘り強さとしたたかさが、社長に求められます。

私のところに相談に来たこの社長には、このあたりが欠如していました。ただ夢を見るばかりで、思考停止に陥っていました。

Bプランは「発動条件」と「次の行動」で組み立てる

プランBの作り方を考えてみましょう。

Bプランは「発動条件」と「次の行動」で構成してください。

先にまず「次の行動」を説明します。

次の行動とは、一番望ましい結果が得られなくなったとき、次の目標を実現させるための行動です。

先ほどの事例では、M&Aが最も望ましい結果でしたが、それは不可能であることが見えました。しかし、そのまま行動を変えなかったことで、悲惨な結末を迎えました。

一方で、早めにM&Aを断念して、自ら会社をたたんでいれば、結果をずっとマシなものにすることができました。周囲にかける迷惑を軽減し、自分の手元にもっと価値を残すことができたでしょう。この場合の「会社を廃業させる」が、次の行動です。M&Aをすることから廃業をすることに行動を変えています。

会社の着地という場面において「次の行動」は、廃業と言い切ってもいいでしょう。

みなさんがすでに学んだように、廃業だけがいつでも、単独で、確実に実行できることだからです。他の会社の着地パターン(M&A、社内承継)は、相手がいなければ成り立ちません。また、会社を着地させないことによって、強制終了(倒産か社長の死)を迎えるのは論外です。撤退のときに、確実な方法(=廃業)を選ぶことは当然のことでしょう。

Aプランがかなえられないからといって、廃業に移らないケースもたしかにあります。

たとえば「まずは子供を後継者として考えたい。それがダメだったときは、M&Aで外に会社を売ろう」というようなケースです。Aプランは社内承継。Bプランの「次の行動」がM&Aです。

この計画だと、Bプランならば絶対かなうかはわかりません。そこで、BプランがダメだったときのCプランまで用意しておくべきだ、ということになります。そしてCプランは廃業になります。究極の決着のつけ方は、廃業だということなのです。

制限時間の設定が社長を救う

次はBプランを発動させる「発動条件」を考えてみます。どうなったらAプランを捨てて、Bプランに移行するか、という話です。

Bプランに切り替える条件は、2タイプ作っておくことを推奨します。

ひとつは「時間の条件」です。

年齢を使うならば「65歳までにM&Aが成立しなければ、Bプランに方針転換する」みたいな感じです。「あと何年したら」という時間設定のやり方もありです。

時間で締め切りを作っておかないと、人はダラダラと続けてしまいがちです。もうちょっと、もうちょっととやっているうちに、いつのまにか残っていた選択肢まで失ってしまったりします。

会社の着地の世界だって同じです。

「会社が良い状態になったら社長を交代しよう」なんて考えていたら、どこまでもズルズルと行ってしまいかねません。気づいたときには、やめたくてもやめられない状況になってしまっていることがあります。

みなさんには想像つかないかもしれませんが、世の中には、やめるにやめられなくなってしまった社長がたくさんいます。会社をたたむのにも、体力や時間、精神力、そしてお金が必要なのです。

時間の条件をあらかじめ設けておくことでリスク管理ができるようになります。

カジノの世界で長く生き残っていける人は、ゲームをやめる条件を時間で区切っている、とかつて聞いたことがあります。どんなに勝っていようが負けていようが、いい流れが来ていようが、とにかく、決めた時間がきたらスパッとやめて帰る。これが大切だそうです。深入りしすぎて我を忘れないように、客観的な「時間」というものさしを使うことがポイントだと。

みなさんの会社の着地においても使える知恵です。

かつて中小企業庁の役人さんたちからヒアリングを受けたことがあります。「中小企業の社長が高齢化して循環が進まない。この問題を改善するアイデアはないか」と問われました。

「中小企業の社長にも、サラリーマンみたいに定年を設ければいいのでは?」

私の回答は、役人さんに思い切り失笑されました(とても恥ずかしかったです)。ただ今思っても、本質は外していないと思うんですよね。もちろん方法の問題はありましたが。

中小企業の社長が、会社の決着をつけないのは、時間を意識できていないからです。

もし時間を意識できるようになれば、結果はずっとよくなるはずです。当たり前のことです。制限時間があれば、集中力が増すし、良い未来を作ろうと努力します。たとえば自分の会社を廃業させたくないと願うならば、時間内に継いでもらえるような会社をどうにかして作ろうとするでしょう。

先ほどの、M&Aを夢見て時間と金を垂れ流した社長のケースでも「時間を設定する」という発想があったら、上手に撤退ができていたはずです。「○○までにM&Aができないときは廃業に方針をかえる」という具合に制限時間の設定さえしていれば……。

なお、私だったら「会社を売り出してから3カ月経っても真剣な買い手が現れないときはM&Aを断念する」という時間設定をしたでしょう。短い期間であることはたしかですが、3カ月あればだいたいの様子は見えます。おしりに火がついている状態の会社ならば、判断は早めにしなければなりません。

時間の条件とともに、もうひとつ用意しておいていただきたいのが「状況の条件」です。

たとえば「会社の預金残高が1000万円を切ったら、Bプランに切り替える」のような条件です。この状況に該当してしまったならばAプランはあきらめざるを得ない、というものです。

時間の条件は一つになると思いますが、「状況の条件」は複数になるケースが多いと思われます。

条件を考えるうえで、発想の代表はお金がらみでしょう。「会社をたたんだときに、借金が残らないようにするためには、いくらお金が必要になるか?」の問いから条件を導き出そうとするケースは多いところです。

業績から条件を導き出すこともよくあります。「今期も赤字だったら、廃業しよう」とかのパターンです。

会社の存続に不可欠な人や関係性も条件になり得ます。「会社のキーマンである専務に辞めたら」とか「大口の顧客に切れたら」とか「この材料が手に入らなくなったら」など。

会社の存続に大きく影響する条件を先にピックアップしておくことで、判断の遅れや誤りを回避することができるようになります。

不安、本音は外に出すべし

ところでみなさんは、プランA(理想)とプランB(代替案)の2つを比べたとき、どちらのほうが大事だと思いますか。

私は間違いなくプランBだと考えます。プランBさえあれば、最悪の事態を避けることができるし、逆に無い場合、致命傷を負ってしまう可能性があるためです。

どデカいホームランを打つことよりも、災いを避けたり小さくすることのほうがずっと大事です。

けれども世の中はそういう感覚ではないようです。

 「前向きなビジョンを描こう」「夢を見よう」「ネガティブなことなんて考えるな」といった風潮が根強くあります。いわゆるポジティブシンキングというやつでしょうか。

望ましくない未来を見ないようにしたら、本当に幸せになれるでしょうか。 現実を見ずに、頭の中にお花畑を咲かせるだけで生きていけるのでしょうか。

私にはそうは思いません。現実をしっかり見つめて最悪のシナリオまで想定する。それに備える。やるべきことをやっておいて、あとは日々を淡々としぶとく生き抜いていく。

こんな姿勢こそが本物の前向きさだと信じます。

ヤメ大の教育の精神もここにあります。

益を狙うよりも、まず損を回避することを優先する。カッコいいことをするより、ヘタを打たないようにする。華やかさや正論よりも、しぶとさ、したたかさを愛する。ヤメ大の流儀です。

「M&Aで会社を10億で売って、悠々自適のハッピーリタイア」

こんな話を耳にすると心がざわめきます。

でも、それは他人の話。あなたにはあなたの現実がある。あなたの人生がある。だからこそ、まずは自分の現実と向き合うことからはじめたいところです。

不安や迷いがあるなら、存在を認め、それをちゃんと外に出してあげることも大切。

「強くあれ」「ブレるな」「弱音は吐くな」と社長は求められます。本当は思い込みだったりするのかもしれませんが、本人はそう信じています。

でも、ずっと虚勢を張り、建前ばかりで生きていたら、社長だってどこかで壊れてしまいます。不安、悲しみ、怒り、焦り、そういった感情を抱くことを自分に許してあげてください。

そして外に出しましょう。ネガティブな感情は、ウンチと一緒です。ためこめば腐ります。

中小企業の社長というのは、「自分の会社は他と違う」「自分の悩みは特別」と捉える傾向があります。でも実際は、誰でも、どこでも、似たような悩みを持っています。私がこれまで相談を受けてきた社長たちも、ほとんどは似たような悩みに行き着いていました。

「やめたいのに、やめられない」

「将来が見えない」

「本当は不安でたまらない」

あなた一人じゃありません。みんな同じです。

ある社長はが「地元の経営者の飲み会では、前向きなことしか話せない」と言っていました。「来年は年商3億!」「新しい設備入れるぞ!」といった話ばかりが飛び交う中、「もうウチの会社は、潮時かも……」とは言えなかったそうです。

飲みの席で「もう社長辞めたい」と漏らした別の社長は「そんな弱気でどうする!」と説教をくらい、発言に後悔したと語ってくれました。

よろしくない傾向です。

ネガティブな本音は、ため込まずに外へ出しましょう。弱音を出せる場、話せる相手を見つけましょう。見栄を張らず、強がらず。大きく見せなくていいし、カッコつけなくてもいい。

もし、話せる相手が誰もいないならば、学長の私が話を聞かせてもらいます。

相談相手の選び方の基準を考える

今回は卒業式前の最後の講義なので、どこかで話したかったけれど、そのタイミングが見つからなかったお話をさせてもらいます。

専門家との関係性についてです。本当は、コトが上手くいくかいかないかを左右するとっても重要なテーマです。でも、軽く考えられてしまっていたりします。

ヤメ大に関係するところでも、専門家の関与なしで済むケースはほぼないはずです。たしかに講義の中で、会社の着地や社長のおわりの全体像を提示し、戦略や計画づくりのガイドはしました。しかし、いざ具体的な計画を立て、実行していこうとなれば、やはり専門家の力を頼らないわけにはいかないでしょう。素人判断でものごとを進めてしまうのはもってのほかです。

誰に、どう相談するか。あらためて考えてみたら結構難しいものではありませんか。

たとえば借金や資金繰りに苦しむようになり、弁護士に相談に行った社長から「話もろくに聞いてくれないうえで『破産しろ』の一言で片づけられた」と、苦情のような嘆きを聞いたことはこれまで何度もあります。

しかしこれって、弁護士のせいなのでしょうか。
私見では、相談に関するトラブルの大半は、相談者が相談相手をちゃんと選んでいないことにあります。

資格などの肩書だけで、相談相手を選んでしまっていませんか。無料だからと、市区町村がやっているような相談窓口でお茶を濁そうとしていませんか。
素人目には同じに見えるようですが、一口に専門家と言っても本当にバラバラです。

単純な力量の差でも、天と地ほどの差があったりします。さらに、その人それぞれに得意分野があったり、独自の傾向があったりします。好みの違いもあれば、価値観も違うのです。

ヤメ大で教えていることだって、このコンテンツは私ならではのものです。分類的には私と同じような事業承継やM&Aを扱う専門家であっても、人が変われば言うことだってまったく変わるはずです。

まずここを押さえていただきたい。専門家にも能力差と個性があります。

だから「今あなたが相談しようとしている相手は、本当にそれにふさわしい相手なのか」を確かめなければいけません。

相談相手を探し、候補が見つかりました。さあ、その人に相談にするか否かの判断をしなければいけません。さてこのとき、何を判断の基準とすればいいでしょうか。

「この相談テーマにおいて、この人の言うことば聞かなければいけない」

私は、こう思える相手にだけ相談をすべきだと考えます。

相談をしたとき、いいことばかりを言ってもらえるわけではありません。あなたにとって辛いこと、受け入れがたいことを言われることもあります。往々にして、本当に実力がある相談相手ほど、あなたにとってうれしくないことをあえて言ってくれることも多いでしょう。

こんな耳をふさぎたくなる話を聞けるかが運命を左右します。それゆえ、相談する相手へのリスペクトは超大切なのです。

私たちはこの時点で誤りを犯しやすいところです。

「相談すべき人」ではなく「相談しやすい人」を選んでしまいがちです。優しいことを言ってくれる人、自分のことを気持ちよくしてくれる人。そして、相談をする心理的ハードルが低い相手を選んでしまいます。でもここまで話せば、この選び方は間違っているとわかっていただけるでしょう。


相談というのは、おそらくあなたが思っているよりもはるかにリスクが高い行為です。

情報をさらけ出し、弱みを相手に見せることにもなります(そうしなければ、意味ある相談になりません)。

相談相手が間違ったこと言っていても、それでも是としてしまいがちです。特に、自分にとって都合がいい回答を得られたときなんて危険です。

相談相手が自分の都合を優先させ、あなたを危うい方向へ誘導しようとすることもよくあります。相手に教えを乞うという特殊な関係性のため、操られやすくなるのです。

紹介って難しいことですよ

相談相手選びを考えると、世間一般であたりまえに行われている「紹介」も、実は難しいものであることに気がつきます。世の中には専門家紹介の類のサービスが存在していますが、本当の意味で機能するとは思えません。

私のところにくる相談者のほとんどは、人を介さず、直接やってきます。本やテレビなどで私のことを知り、相談を申し込んでくださる方ばかりです。

しかし、なかには誰かの紹介やってくる人もいます。

そして紹介の場合ほど、よい関係性を築けないケースが増えます。「この人とは相性が悪いな」と感じるときや、顧客との間で何かのトラブルが起きるときは、だいたい誰かからの紹介案件のような気がします。

なんでそうなるかと言えば答えは簡単。紹介で来る人は、私のことをよく知らないのに相談や依頼に来るからです。私のことを知らないけれど、紹介されたからという理由だけでやってきます。
さらに紹介だと「なにかしらの便宜を図ってもらえるもの」といったスケベ心を持つ人も多いようです。「○○さんの紹介だから、安く仕事を引き受けてくれるはず」とか。ある種の甘えが存在しています。

このあたりは専門家によるのでしょうが、私の場合、誰かの紹介だからといって自分の仕事のやり方を変えるつもりはありません。なので話がこじれやすくなるというわけです。

紹介というのは実に難しいのです。でも、そんな本質を知りもせず、安直に人を紹介したがる人間が世間には多いものだと、少々うんざりさせられることもあります。

専門家の力を引き出す

先日、会社がつぶれそうな社長が、友人の社長から紹介されたと私のところに相談に来ました。

彼は一度相談日を決めたものの、翌日「急いでいるから相談を早くしてくれ」と要求してきました。私は無理をしてスケジュール調整をしてあげましたが、契約もしていなければ、お金をいただいたこともない相手です。本来そこまでしてあげる筋合いはありません。こちらには、ちゃんと契約やお金をいただいているお客様がいるのですから、優先されるべきはそちらです。
で、その社長が相談にきました。

自分の話ばかり延々とします(たまにこういう人がいますが不可解です。せっかく相談に来ているのだから、相手の意見を聞いたほうが得だと思うのですが……)。
時間ばかり流れて要領を得ないので、私はストレートに聞いてみました。「それで、私にどうしてほしいのですか?」と。

社長はハッと息をのみ、目を丸くしました。

どうやらこの人は「かつて私が紹介者を助けたときのように、自分にも同じことをしてもらうのがあたりまえ」という認識に立っていたようでした。「助けてくれ」とも言われていなければ、「あなたを助けます」とも言ってないのですが、おかしなことです。

そもそもクライアントの状況によって施す策は変わります。なのに「俺は客なんだから、こちらが思う通りにやるのが当然だ」という姿勢をとられると困ります。
この時点ですでに私は、この社長の仕事を受けたくないと思っています。これまでに積んだ経験から、もう一人の私が「こういう人と関わると面倒になるよ」とシグナルを発しています。

ハッキリさせておいたほうがいいと思ったため、率直に言うことにしました。

「私はすべての仕事を受けるわけではないし、他人がやってもらったことを、自分もやってもらって当然だというあなたの認識はおかしい」と。

言われた社長は、不貞腐れた表情を浮かべました。それから荒々しく荷物をまとめると、乱暴にドアを閉めて帰っていきました。どこまでも自己都合ばかりの人でした。

私にとっては目先の金より、気持ちよく仕事ができることのほうがずっと大切です。そのためには、何でもかんでも仕事を引き受けるわけにはいきません。相性の悪い人とは関係を持たないのが得策です。同じ仕事をするならば「この人のためならば頑張りたい」と思える仕事だけをやりたいものです。

こういう出来事があると、もっと専門家を上手く使えばいいのに、と毎度のことのように感じます。

あなたは「相手の力を引き出そう」と思って接していますか。

本当に人によって差があるところです。こちらのやる気を引き出すのが上手な方がいる一方で、相手のモチベーションを下げるような立ち居振る舞いをする人も結構多いように見受けられます。

専門家と言えど、普通の人間です。気分次第で仕事のパフォーマンスは変わります。であれば、相手の力を引き出すスタンスに変えたほうが得策だと思いませんか。


かなり専門家との関係について熱く語ってしまいました。重要視している人は多くありませんが、本当はとても大切なポイントだと思います。

あなたの問題を解決できる専門家、あなたと馬の合う専門家って、本当はそう出会えるものではありません。貴重な存在です。

だから出会えたときには、逃がさず、よい関係性をしっかり創っていただきたいところです。

さて今回はここまで。宿題は「Bプランを考えよう」です。

すでに、会社の着地のさせ方や社長のやめ方についてのビジョンは、思い描いていただいているはずです。今回は、それがかなえられなかったときの、次のプランを練ってください。

〜お知らせ〜
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この記事を書いた人

奥村 聡(おくむら さとし)
事業承継・廃業コンサルタント

これまで関わった会社は1000社以上。廃業、承継、売却・・・と、中小企業の社長に「おわらせ方」を指導してきました。NHKスペシャル大廃業時代で「会社のおくりびと」として取り上げられた神戸に住むコンサルタントです。

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