なかなかにエグい話でした。
とある会社が、銀行に経営の相談をしたところ、コンサルティングを受けることを勧められたそうです。
銀行は「A銀行」としましょう。
紹介されたコンサルティング会社は、そのA銀行のグループ会社です。
コンサルティング会社からの提案はこんなものです。
会社には、A銀行から7億円の借金がありました。
「他所の金融機関から2億円を劣後ローンで借りましょう」
そして、借りた2億円はそのままA銀行に返済してください」と。
この提案のまま事は推移しました。
しかし要は、A銀行が、自分の手の者を貸出先の会社に送り込んで、自行の債権をまんまと回収をしただけじゃないか!!という話です。
さらに、A銀行配下のコンサルティング会社は、当初の約束どおり500万円の成功報酬を手にして引き上げていきました。
これのどこがコンサルティングなのか・・・
さてこの出来事、いかに感じますか。
銀行の姿勢はもちろん褒められたものではありません。
それだけあちらも大変な状況にあるということを表しているのでしょう。
今回の新型コロナの関連でも、「貸出先の会社にコロナ融資を借りさせて、その金で自行の融資を返済させた」なんて話は、巷にたくさん転がっています。
私の仕事では、手数料が欲しい銀行が強引にM&A案件に割り込んできて、お客さんに害を及ぼされたケースもありました。
銀行も必死です。
既存のビジネスモデルが崩壊し、背に腹を変えられなくなっている様子が伺えます。
ただ、銀行の倫理とか道徳を問う以前に、銀行にスキを見せてしまうことこそが、個人的には一番の問題である気がします。
相談とは、弱みを見せることでもあります。
内情を見せなければ話が進みませんが、そこにはリスクも伴います。
「銀行の前でストリップやってどうすんだよ!」
この話を報告してくださった方が口にしたセリフですが、僕もまったく同感です。
相談相手はよくよく考えなければいけません。
すべての銀行がこうではないのでしょうが、こちらの都合で動いてくれるわけではありません。
あくまで自分たちの利益のためです。
利害対立しうる相手であることを忘れてはいけません。
一般的に良いとされる紹介だって、本当はそうではない場合がかなりあります。
紹介者と紹介者された者が裏では、どんなやり取りがなされているか分かりません。
バックマージンを支払う話になっていたら、その金はあなたへの請求に上乗せされることとなるでしょう。
紹介者の顔を立てなければならない、紹介者の利害を守らなければならない、という縛りも受けます。
たとえば、ある銀行に紹介された税理士だったら、その銀行に都合の悪い策は普通提案できません。
最近は、公的機関からの専門家派遣とかもよくありますが、これも考えもの。
どこの誰だかわからない人間が派遣されてきていいのでしょうか?
人とナリも、レベルもわかりません。
一般論としては、自分でお客さんを見つけられる人は、紹介制度に頼らないで仕事を開拓しているでしょう。
相談については自分でもうんざりするほど、何度もブログ等で書いてきました。
どうもみなさん、相談というものを甘く見ているし、誰に相談するかについて無神経だと感じてしまいます。
この傾向には、相談を受ける立場であった専門家にも責任があるのでしょう。
多くの人が相談を、自分が本当に売りたい商品やサービスを売るための道具にしてしまっています。
広告を見れば「相談無料」の言葉が氾濫していることがそれを証明します。
専門家自身が、相談という営みの価値をゆがめ、貶めてしまっているのではないでしょうか。
僕は、この流れに抗いっていきたいと思っています。
そのために、仕事を取るための道具ではなく、相談自体を大切な仕事として成立できるかたちを築けるように試みています。
今取り組んでいる会員制度『着地戦略会』でそれを実現することができれば、と。
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