不動産の境界画定に立ち会いました。
土地家屋調査士さんと案件をシェアしているのでもなければ、司法書士の立場で登記に関わっているのでもありません。
売り手のオーナー一族の代理的な立場です。
「隣の会社に土地を売ることになったから、後はよろしくね」
こんな感じでざっくりと話が振られました。
それから隣の会社と売買条件を調整して、契約書を作りました。
代金決済や抵当権の関係で銀行とやり取りもしました。
そして、分筆や境界画定の手配を土地家屋調査士事務所にして、その現場立ち合いを行ったという次第です。
これ、何の仕事なのでしょうか?
部分的な手続きを依頼されるような、通常の専門家業務とは異なります。
それよりもっと当事者よりの立場です。
お付き合いの最初は、M&Aのアドバイザー業務を依頼されました。
「会社を買いたいと言われている」とのことで、先方との交渉の役目を受けました。
しかし、M&A交渉が少し進んだところで、「待った」がかかります。
経営者をしている社長のお子さんが「よそに売るんだったら、自分の会社で買い取りたい」と言い出したのです。
過去に社長は、このお子さんに会社を継ぐ意思はないか聞いたことがあったそうです。
その際は「とても手が回らない」との答えでした。
こんないきさつもあって、彼に声をかけることなくM&Aを進めたという背景がありました。
しかし、当時とは状況が変わり、少し余裕ができたということで「自社で引き継ぎたい」というリクエストが寄せられました。
いざ他人のものになることが現実化したら、「もったいない」と感じるようになったのかもしれませんね。
奥村の役割も変わりました。
社長と、お子さんの相談を受けてアドバイスをしたり、双方の間に入って条件を詰めました。
社長の会社とお子さんの会社を統合していくための、企画を考えたりもしました。
債権者である金融機関への対応にあたったこともあります。
(ちなみにこの会社は、事業承継の機会に社長の連帯保証を外すことに成功しています)
こうして事業承継がひと段落しました。
しかし、社長たちと奥村との付き合いは終わりません。
オーナー一族はいくつか会社を保有しています。
不動産等の資産もたくさんあります。
これらの整理や管理も依頼されることになりました。
役割はさらに広がります。
一族の長である社長の遺言を作り、遺言執行者になることを頼まれました。
「子供たちには、『何かあったら奥村さんに相談するように』と言ってるからね」と。
投資や税金のことを相談されたこともありました。
各社の経営相談を受けることもあれば、ときに孫の進路相談まで(笑)
私では解決できないテーマのときは、足を使ってそれを解決できそうな専門家を探したこともあります。
「なんでも、とりあえず奥村に」のような流れができております。
奥村としては、このように私を活用してくださることをありがたく感じています。
専門家というよりは、オーナー一族の執事のような感じですね。
事業承継のお仕事をさせていただいた流れで、こんな風に「執事化」していくことがあります。
近年は老舗や資産家、地域トップの会社経営者などからお声がけいただくケースが増えました。
こういった方々は、資産や会社をたくさん持っていて、手が回っていない傾向があります。
人間関係も複雑なケースが多いところです。
奥村のような、話を丸投げできて、柔軟に動いてくれる、何でも屋的なニーズがあるようです。