自分で自分を手放しでほめられる。
こんな仕事は、年に何回あるでしょうか。
もしかしたら数年に1度かもしれません。
先日の会社分割のコーディネートは自分でも「よくやったぞ!」と褒められる仕事ができました。
2人の経営者がいて、それぞれが別の事業を担当していました。
事業内容は大きく異なっていたため、そもそも同じ会社内でやる必然性が乏しかったところに加え、いろいろとズレが生じていました。
「相手の経営者にしばられずに、自由に経営したい」とか、
「うちの事業が利益の大半を稼いでいるのに、経費はあちらの事業が使っている」とか。
そこで、もういっそのこと会社を分けて、別々に経営しよう、ということになったのです。
どうやって切り分けるか、奥村が間に入って調整することになりました。
いやはや、これが本当に大変で・・・
資産のパイは決まっています。
簡単な話、相手が多くのお金をもっていけば、こちらはその分金が減らされるという関係性です。
当然、お互いがシビアになります。
そこに過去の歴史までもが持ち出されます。
あのときのあれはどうだ、こうだと……
話の収拾がつかなくなってあたりまえといえるでしょう。
私は両者の意見や言い分、相手への不満に耳を傾けながら、「だったら、こう分けてはどうでしょうか?」と調整を続けました。
長い時間をかけ、何度もひざをつけあわせて対話を重ねました。
少しずつ落としどころが見えてきて、会社の切り分け方が固まってきました。
それでも、あと一歩のところがどうしても埋まりません。
「これは難しいかな・・・」と感じはじめていたのが正直なところ。
しかし、当初に設けたデットラインの前日になって、これまでかたくなに拒絶していた相手の言い分を受け入れてくれました。
ギリギリの大逆転で会社分割を実行することができることになりました。
ほんとに奇跡のようです。
自分でもよくやったと思うととともに、これもみなさんの協力があってこそ。
私を信頼して最後まで調整に付き合ってくれたお二人の経営者。
サポートしてくれた顧問税理士の先生。
本当にありがとうございました。