1000社の相談で得られた経験と知恵をシェアします メルマガ登録

会社再生の場面で、社長は自宅を手放せるか・・・

昨日のブログで自宅のことを書きました。

今回も自宅がらみのネタをご紹介しましょう。

 

目次

このままじゃダメなのは分かっているけど、自宅は残したい・・・

 

奥村は会社再生の仕事をしている時もあります。

会社再生という言葉の定義があいまいなので、
「銀行に借金も払えなくなって、
このままでは会社は潰れてなくなってしまう」
という場面をイメージしてください。

借金の返済余力はありません。

でも、起死回生を狙い、
どうにかこうにかやりくりしようという段階です。

火事になっているときに、
必要なものだけでも持ち出そうという緊急事態です。

 

今、手を打てばまだ可能性は残せる。

しかし、それには痛みも伴うという選択を
社長は迫られます。

 

このとき決断を難しくするのが社長の自宅です。

 

家というのは、単なる物のはず。

しかし、そこに想い出や家族とのつながりも
重なってきます。

故に決断を鈍らせるものになるのです。

 

仮に、住宅ローンが3000万円残っていて、
実際の不動産価値が2500万円だとします。

本来の資産価値としては、
マイナスの500万円。

もうこれは資産とも言えません。

でもこんな状況の不動産であっても、
なかなか手放す決断ができないのです。

 

会社の再起のチャンスが欲しい。

でも、自宅は手放したくない。

そんなわがままばかりは言っていられない状況なのですが・・・

 

 

銀行に家をとられる?

 

債権者の感情を考慮してもそうです。

自分たちの借金は返済してもらえないのに、
社長はのうのうと自宅に住み続けていてはどうでしょうか。

やっぱり納得いかないですよね。

 

ちなみに、
「借金を返せないと自宅を債権者に取られる」
という表現がよくされますが、
これは正確ではありません。

債権者が自宅を横取りするわけではありません。

返済を受けられなくなったら
担保に取った自宅を競売にかけてお金を作り
そこから自分たちの債権を回収しようとするのです。

いくら債権者でも
社長の自宅を自分のものにする権限はありません。

 

再生コンサルの中には
「社長の自宅を残すことが一番大切だ」
と主張している人も過去にいました。

家を失うと社長の元気がなくなってしまい、
ひいては会社の復活もできなくなるという
ロジックのようです。

一理あるような気もしますが、
彼らがそいう言うのは、
そのほうが社長の受けがいいのかもしれません。

やさしい言葉をかけたほうが、
仕事をとりやすいでしょうからね。

 

 

自宅にこだわると再生ができない理由

 

家族に迷惑をかけたくないという
社長の気持ちもわからないでもないのです。

でも、そこが引っかかると
再生がとても難しくなります。

たしかに、自宅を残す手がないわけではありません。

しかし、その方法を選ぶと
余計にかなりのお金を必要としたりします。

とてもそんな余裕がない場合がほとんどでしょう。

 

また、社長のマインド的に難しいのです。

「どうにかもう一回会社を再建させるチャンスをください」
というスタンスを取るべき場面です。

それぐらい死に物狂いになって
仕事を頑張らなければ、
普通は立ち直れません。

なのに、自宅は残したいという
個人的な問題を優先させるようでは、
どうしても厳しくなります。

 

 

自宅のことで悩み、
さらに思考停止になる社長はたくさんいます。

一方、まれにですが、肚のすわった社長もいます。

「こういう(借金の返済ができない)
事態を招いてしまった以上、
自宅うんぬんとは言ってられません」

「あとはまな板の上の鯉になるだけです」と。

 

捨てるべきところを捨てる覚悟ができていて、
堂々としている社長が。

こういう人は強いです。

会社を再建させる可能性も高いし、
別のところから救いの手が
差し伸べられたりもするものです。

他者はけっこう見ているものですね。

 

 

会社を潰すか否かの場面は、
経営の極限の場面でしょう。

それだけに、
その人の人間性や本質がもろに出るものです。

 

 


(奥村聡関連の他のサイト)

その手があったか!!の事業承継や社内整理で役立つ会社分割活用法
《会社分割ドットコム》

奥村が仕掛ける淡路島プロジェクトの宿&カフェ
《のびのび日和》

地域を面白くしたい、地元ひいき活動
《ひょうごエンジン》

〜お知らせ〜
『社長の歩き方』へのご訪問、誠にありがとうございます
ぜひ、会員登録無料をなさっていってくださいませ。
会員限定記事がすべて読めるようになります。

よかったらシェアしてね!

この記事を書いた人

奥村 聡(おくむら さとし)
事業承継デザイナー
これまで関わった会社は1000社以上。廃業、承継、売却・・・と、中小企業の社長に「おわらせ方」を指導してきました。NHKスペシャル大廃業時代で「会社のおくりびと」として取り上げられた神戸に住むコンサルタントです。
最新著書『社長、会社を継がせますか?廃業しますか?』
ゴールを見すえる社長のための会【着地戦略会】主宰

目次