お客さんのこと好きですか?
かつての僕は、自分のお客さんを好きではありませんでした。
あまり共感できないというか・・・
ただ、そんなこと考えることもなく、仕事だと思って黙々と案件をこなしていました。
今でも腰痛がありますが、当時は肩こりや腰痛がもっとひどい状況でした。
頻繁に整体のようなところに通い、どうにかごまかしていた次第です。
そこでよく担当してくれていた女性のスタッフさんが、ある日こんなことを言いました。
「私、自分のお客さん大好きですよ!」
暗に「奥村のことが好きだ」という告白の可能性も少し考えてもみましたが、どうもそうではなかったようです・・・
どうしてそんな話になったのか分かりません。
「お客さんが好き」
その言葉は頭の中に残りました。
仕事だから好みを前に出すのは変な気もしました。
でも、お客さんのことを好きなら、もっとやる気が出るのに。
当時は司法書士事務所で、スタッフを10人近く雇っていました。
仕事としては債務整理や相続をよくやっていました。
今ふりかえると、お客さんに共感できない場面がたくさんあったように思います。
たとえば過払い金の回収のときです。
あるときを境に、サラ金(今でいう消費者金融)が受け取っていた利息が法定の利率よりも高いと判断され、借主は返還を要求できるようになりました。
それをウチの事務所では依頼者の代わりに回収していました。
通常、借金関係の仕事では、依頼者は借金を返せなくなりすがるように青い顔をして事務所にやってきます。
ところが過払い金が発生していて、その返還を受けられるかもしれないとわかると目の色が変わります。
鼻息荒く、
「業者からお金を返してもらうのは当然です。
いつ返してもらえますか?
早くしてください!!」
といった勢いです。
こんな姿をみているとなんもやるせない気分になりました。
頭を下げてお金を借りていたはずです。
金利のことなんて考えてもいなかったはずです。
それがたまたま実務の変化が起きてお金が返ってくるようになっただけでしょう。
それを鬼の首を取ったように権利を高らかに主張するのはどうかなぁ。
僕からすれば、どっちもどっち。
お互い様に感じました。
あくまで特徴的な例で、お客さんみんながそうだったわけではありません。
しかし、お客さんに共感できない場面がたくさんあったのは事実。
だんだんとお客さんとの関係性について考えるようになり、いつしか「小さな会社の社長さんに寄り添うような仕事がしたい」と思うようになりました。
その後、司法書士事務所を他者に譲渡しています。
その理由のひとつに、お客さんへの共感の可否があったことは確かです。
今でも腰痛はありますが、身体は昔よりも軽くなています。
当時はそれだけストレスも多かったのでしょうね。
伝える技術が上手くなったのか、今では好きなお客さんの仕事ばかりさせてもらえています。
ありがたいです。
あなたは好きなお客さんの仕事をできていますか?
一国一城の主たる社長さんでも、まったくお客さんを選べていない場合があります。
そんな発想すらなかったり。
「そんなことしたら、仕事切られちゃうかもしれない」と、いつも顧客を恐れてばかりいる会社もあれば、嫌いなお客さんにしがみついて、振り回されて、疲弊して・・・
それではお客さんの奴隷じゃないですか、と言いたくなるようなときまであります。
ひたすらこびたところで、捨てられるときは、あっさり切り捨てられてしまいます。
あちらはこちらの面倒を一生観るつもりなんてありませんから。
だったらもっと自由にやればいいと思うのですが・・・
お客さんを選んでいいのです。
あくまで自由なんですよ。
ちなみに司法書士法には「正当な理由なくして依頼を断ってはいけない」という条文がありました。
まったくいつの時代の話でしょうか。
ほんとにダサい。
自分だったら「その人を好きじゃないから」だって、仕事を断る正当な理由になると思います。
法律的にはそれは想定外でしょうけど。
普通の仕事ならば誰をお客さんにするかは自由です。
好きなお客さんのためなら、仕事をする力が湧いてくるはずです。
そうすればお客さんからも評価されて、もっと良い仕事ができます。
大好きなお客さんを、あなたの仕事でもっと喜こばせてみませんか。
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