今日から3日間の東京出張です。
いろいと予定が詰まっています。
さて先日、会計士さんから企業のスタートアップや上場(IPO)のお話を聞きました。
僕が日ごろ接している会社とは全然違う世界なので、新鮮な気持ちで勉強できました。
上場できたら創業者はものすごく儲かるイメージでしたが、現実は案外そうでも無いそうです。
上場まで持っていく段階で、資金調達のためベンチャーキャピタル等の他者に株式を発行しているケースが普通です。
そして、株式の売り抜けを狙っていたベンチャーキャピタル等は、上場したとたんに株式を売却します。
そんな背景があるので、創業者としてはそのタイミングで株式を売ることが、なかなかできないそうです。
この辺りの話は「資本政策」と呼ばれています。
上場を想定して、いかに他者からお金を引き出しつつ、自己の株式の割合を確保するかが肝となる世界です。
この過程で、多くの起業家は百戦錬磨の投資家にいいようにやられてしまうそうです。
投資家は自分のために弁護士を雇います。
でも、起業家側の弁護士はめったに雇われていないと言います。
その理由は簡単で、お金がないからです。
雇おうと思えば雇えないこともないのかもしれませんが、お金を出すのをためらってしまうのでしょうね。
ただでさえ事業を立ち上げるためにはお金がかかります。
常に資金が足りないような状況で、守りを固めることを目的としたお金を出しにくいことが想像されます。
ただ、こうなるともう大人と子供です。
知らぬ間に、投資家に有利な方向で足元を絡め取られていくのでしょう。
なんとも皮肉な話です。
弁護士の費用が高いことが、投資家に有利に働いています。
本心では投資家だって「弁護士の費用が安くなればいいのに」と思ったりするのでしょう。
しかし、弁護士の費用が高いおかげで、相対する起業家が弁護士を雇えません。
結果、自分たちが有利な展開で戦えます。
この話を聞いて、情報の重要性や、知恵のある人間を雇うことの大切さと難しさをあらためて感じました。
自分の仕事でも同様のジレンマはよくあります。
「情報が大切だ」とよく指摘されます。
正しいことであって、間違いありません。
たった一つの助言が、数年後に何千万、何億の利益(または損失)につながることだって珍しいことではありません。
ただ、いつ、どれぐらい役に立つのかその時はわかりません。
そんな情報のために、先行してお金を出せるのか?
こう問われたら、どうでしょうか。
実際のところ、お金を出せる人は少ないと思うのです。
お金にゆとりがある会社や人なんて、そんなにいません。
また、もし投資する気持ちがあっても、目の前にいる人間その期待に応えてくれるのかは保証されていません。
いやはや、目に見えないものに、適切にお金をだすのはとっても難しいことですね。
こう考えると「なんでもっと早く話を聞きに来てくれなかったの……」という、僕がお客さんに抱く残念な気持ちも、仕方ないと思えてきます。