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ご本人に考えてもらうのが本当は近道かも・・・

大きな借金を抱えて、
なかなか業績を回復できなかった貿易系の会社から
継続的に相談を受けていました。

「もしこのまま会社が潰れるようなら
どうすればいいか?」と。
そこでいろんなケースをシミュレーションして、
何度もお話をしてきました。

「自宅や会社の物件はどうしたらいいのか?」

「お客さんや従業員に迷惑をかけないには?」

「銀行とのやり取りはどうすればいいか?」

たとえば、こんな問いに対して回答をしたり。

 

ところがあるとき、
その会社の取引先が民事再生を申し立てました。
1000万円近くの売掛金の回収が不能となったのです。

もともと体力が無くなっていた会社だったので、
予想よりもはやく終末がやってきてしまいました。

 

会社の倒産が現実となり、
社長たちは浮き足だちました。
焦りや怒りや混乱に襲われ、
その矛先は相談を受けていた僕にもむけられます。

「自宅を残せなくなってしまうじゃないか。
どうすればいいんだ!」
という具合に。

 

しかし、
社長から出てくる批判のような質問は、
すべてこれまでのミーティングで想定して
対策を考えてきたものでした

これまで僕が回答してきたことは、
本当の意味では理解されていなかったのです。

もしかしたら、
理解はしていたけど緊迫した場面のために
すべて飛んで行ってしまったのかもしれません。
いくら社長の質問に答えて理解を得られないため、
今度は僕から社長に
「これから何が起こって、社長はどうするか?」
を書き出してもらうように依頼しました。

 

 

それから数日後、
社長は落ち着いた表情で現れました。

「急な話に混乱してしまいましたが、
改めて考えてみたらこれまで話をしてきたことを
実行すればいいだけだと気づきました。
本当に、ご迷惑をおかけしました・・・」

照れくさそうに話をしてくださいました。

 

 

場数を踏んできた僕が答えを出すのは早いし簡単です。

でも、それでご本人が納得できているか、
際に動けるかといえば別の問題です。

ちょっと余計に時間がかかっても
ご本人が理解し、
自分の意思でやっていると感じられるかたちを
作ったほうがいいのでしょうね。

この一件で大切なことを気づかせてもらいました。

 

なお、円安になって、
この件のように
貿易関係の会社が悲鳴をあげているケースは
多いのでしょう。

販売価格を上げて為替の変動影響を受け流すなんて、
簡単なことではありませんから。

「株価が上がって景気が良くなった」
という意見もあるのかもしれませんが、
現場はとてもそうではない様子です。

 

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この記事を書いた人

奥村 聡(おくむら さとし)
事業承継デザイナー
これまで関わった会社は1000社以上。廃業、承継、売却・・・と、中小企業の社長に「おわらせ方」を指導してきました。NHKスペシャル大廃業時代で「会社のおくりびと」として取り上げられた神戸に住むコンサルタントです。
最新著書『社長、会社を継がせますか?廃業しますか?』
ゴールを見すえる社長のための会【着地戦略会】主宰

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