社長さんよりM&A会社からの手紙について、相談がありました。
【ご相談内容】
「私は学習塾を経営しています。
自身の年齢や、今後の経営を任せられる人材がいない状況です。
廃業も視野に入れて悩んでいたところ、M&A業者から「ある企業が貴社との資本提携を希望しています」と手紙が送られてきました。
正直なところかなり興味を持っているのですが、話を聞きに行くことについてどう思いますか。
奥村の回答:無視一択です!
また、このパターンですね。
このところ数人の社長さんから、同様の相談を受けたことがあります。
会社の最終決着に悩んでいたりすると、つい引き込まれてしまったりするようです。
かつて、かなり業績が悪くなっている会社で、一刻も早くM&Aで会社を買ってもらいたいと焦っている社長がいました。
その社長のところにも「あなたの会社との資本提携に興味のある企業があります」と手紙がM&A業者から送られてきました。
社長は「なんで、うちの状況を知ってるの!?」と驚き、是非とも買ってほしいと条件反射でM&A会社に連絡を・・・というところで、止めたことがあります。
まずは冷静になりましょう。
前のめりになっている方が読むと「うちの会社を欲しがっている企業がある!」と思いこんでしまうことがあるようです。
でも実際のところは、情報会社などを使ってリストアップした先に対してDMをバラまいているというのが現実でしょう。
あなたの会社のことを念入りに調べて、「この会社だったらピッタリだ!」と判断してピンポイントでコンタクトを取ったのではないはずです。
(であればアプローチしてくる方法は違ったはずです)
昨今、M&Aが儲かると、業界は色めき立っています。そして案件の獲得競争は過熱しています。
中小企業の経営をされている方の中には、これまで、業者からかなりの数のDMが送られてきた方もきっといるはずです。
そうなると普通にやっただけでは埋もれてしまいます。
業者はあの手この手で攻めてきます。
その一つの手が「○○を買いたいと希望している企業があります」の切り口です。
同様の切り口は、不動産売却の案件を獲得したい不動産業者も使っていました。
さて、このDM、少しはあてにしてもいいのでしょうか。
僕からすると、信ぴょう性に欠ける感じしかしません。
本当に買収に動いている企業があるのか。
あったとして、本当にあなたの会社を買う可能性があるのか・・・
ウソの話と言い切ってしまってもいいのかもしれません。
もし会社を買おうとしている企業が本当に実在しているとしましょう。
しかし、M&A業者は、あなたの会社がその企業に買われることになるなんて、ほとんど考えていないはずです。
このDMの一番の目的は別のところにあります。
それは、M&A会社が、新たな売り案件を入手することです。
別の言い方をすれば、あなたに会社を売らせること、なのです。
こんなDMにつられてホイホイやってくる社長は、自分の会社を売ることに興味があるはずです。
DMへの反応は、業者からすると、会社の売却の案件を受託するチャンスです。
「いやー、残念ながら今回のM&Aの話は条件が合わずに流れてしまいました。
ただ、よろしければ弊社が引き続き御社の売却先をさがしますよ」と。
こんな業者の思惑にまんまと乗せられるべきではありません。
無視一択です。
興味本位で話を聞きに行ったら情報を取られるだけです。
その後、しつこい営業を受ける恐れだってあります。
会社買収を希望している企業がそこらに1社、2社あろうが、はっきり言ってどうでもよい話なのです。
世の中では、会社を買いたいというニーズより、会社を売りたいというニーズのほうがはるかに少ない状況なのですから。
売り手は、買い手をいくらでも選べることを意味しています。
(ただし、利益が出ているなど、売ろうとしている会社のコンディションは問われます)
いざ会社を売りたいときは、こちらが主導権をもって、広く買い手を探せばいいのです。
今回の奥村の解説はいかがでしたか?
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