自宅を手放したくないから・・・
再生に着手することで
自宅などの不動産を手放さないと
いけなくなる場合があります。
たとえば銀行からの借金の担保に
自宅が取られているような場合です。
普通の流れならば
「約定通りの返済をしなかった」と、
銀行は自宅を競売にかけてくるでしょう。
廃業をしても借金が残ってしまい、
その返済の目途が立たなくなってしまう
場合も同様です。
こんな結果が見えているから、
手を打てない社長もいらっしゃるのかもしれません。
「このままではダメなことは分かっている。
しかし、自宅には住み続けたい・・・」と。
ご本人としては家を失うのは仕方ないと思えても
一緒に暮らす配偶者や子供にまで迷惑をかけたくないと
考えるかたもいらっしゃるのでしょう。
不動産の親子間売買とは?
再生時の社長の自宅については
論争があるところです。
「家ぐらいあきらめられなくて再生なんてできない」
という意見と
「自宅は社長の心のよりどころだから
残さなければならない」という意見があります。。
どちらも一理ありますが、
要は、自宅さえ残せれば手が打てる場合があるのでしょう。
そのために効果をもたらしてくれるかもしれない
『親子間売買』と呼ばれる方法をご紹介します。
親子間売買とは、
その名の通り「親子で不動産の売買を行うこと」です。
お子さんが社長の自宅を残すために
お金を出して親の家を買い取ります。
その売買代金を使って
会社の借金や住宅ローンを返済することで
家を手放さなくても済むようになるという手法です。
当然、お子さんがいらっしゃったとしても
そのお子さんが同意しない場合は成立しません。
親子どうしで売買をすることに
違和感を覚える方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、法律上、親子といえど個々の人格があります。
その両者が売買に合意すれば
取引は成立することになります。
親子間売買のポイント
親と子供の間で、親の所有する家を売買する。
話は簡単です。
ただ、進めようとすると
注意しなければいけない点があります。
いくらで売買するか?
まず問題となるのはその価格です。
親子間だからとなあなあにやってしまうと、
税金で痛い目にあいます。
しっかりと時価を導き出して
取引しなければなりません。
また後の証拠資料とするため
取引内容を定めた契約書も作っておくべきです。
資金調達をどうするか?
次の大きなハードルは、
資金調達です。
お子さんが自宅の時価に相当する現金を持っていれば、
それで買うことができます。
しかし、ほとんどの場合、
そんな現金は持ち合わせいていません。
お子さん名義で
住宅ローンを組むニーズが出てきます。
この資金調達が一筋縄ではいかない場合が
多々あります。
まず住宅ローンなので、
お子さまが審査の対象になります。
ローンの額と年収のバランスなどを見られます。
他の借金を負っていないか、
その額はどれぐらいかも審査の対象です。
その他さまざまな要素を総合的に見て、
銀行は金融機関はローンの可否を判断します。
ただ、ここまでは誰が住宅ローンを組んでも
同じように問われる内容です。
親子間売買に限ったことではありません。
難しいのは、親子間売買の場合、
銀行は「胡散臭い」という目で見てくることなのです。
銀行の視点で考えていただけますか。
普通、親子間で自宅の所有権が移るとすれば
それは相続です。
あったとしても贈与でしょう。
それを住宅ローンまで組んで売買するとなると・・・
「なにか臭う!」となるのです。
故に、普通に銀行に借りに行っても、
ローンを組ませてもらえない場合が多いでしょう。
しかも厄介なのは、
一度ダメだった銀行に再度同じ内容で
審査をしてもらうことができないことです。
「かたちを整えて再チャレンジすればいいや」
とは、いかないのです。
結局、プロを入れたほうがいい
「じゃあ、結局親子間売買なんて使えないじゃないか」
と不満を感じられたかもしれません。
でもそんなことはないのです。
使える場面ではとても有効です。
ただ、形式を整えなければならないし、
そのために、費用を使う必要だってあるのです。
たとえば、住宅ローンを申し込んだ銀行は、
貸したお金がどのように使われるかまで心配します。
また、詐害行為
(債権者を害する行為として取り消しの対象になること)
になるような面倒には巻き込まれたくもありません。
銀行の性格は無難なことを好みます。
だから住宅ローンを組みたければ、
銀行に状況を説明したすることで
リスクがない状況を作ってあげなければならないのです。
これは一般の方にはそうできることではないでしょう。
仮にその力量はあったとしても、
銀行は当事者の親子を信じず、
公正な第三者の存在を求めるはずです。
同様に、不動産の売買契約書だって、
プロがきっちり作ったものを要求してきます。
目先のコストをケチることで、
より大きなリスクを負ってしまいがちな
ケースだったりするのです。
必要経費だと思って、
素直に信頼できる専門家の支援を
求めることをおすすめします。