清算と事業譲渡の合わせ技でメリット増大
一般的には廃業の決議がなされてから営業を停止して、それから清算事務として資産の換価に入ります。
しかし、ここで単に個々の資産を換価せず、
事業譲渡を使うことで、
メリットを増大できる場合があります。
あるアパレル会社の廃業戦略
あるアパレルの会社では店をそのまま引き受けてくれそうな人(会社)を探しました。
資産を個別に処分するのではなく、「まとめて誰かに引き継いでもらえないか」と考えたのです。
そうすることで、個々の資産の売却をする手間が省けるし、賃貸物件の原状回復費用などが要らなくなります。
事業を引き継いだ方が雇用等を維持してくれる可能性も生まれます。
そして結果的に、個別に資産を売却したときよりも高く換金できる場合が多いのです。
幸い相手が見つかりました。
買い手とすれば、この事業を引き継ぐことで、すでにできている商売の仕組みが手に入ります。
自分で同じものを作ろうとすれば、相当な時間や労力やお金がかかってしまいます。
それが一瞬で手に入るのですから、悪い話ではないはずです。
銀行が黙っていない?
事業譲渡を使う手は良さそうだけど、それをするには
「銀行をはじめとする債権者が同意してくれないのでは?」
と疑問が沸いた方らいらっしゃるかもしれません。
でも、結論を先に言えば、同意してくれました。
しかも、この会社は資産を清算しても、銀行からの借金を返済しきれない会社だったのです。
全ての借金を返せるならば、銀行としたら
「あとは勝手にしてください」
というスタンスでしょう。
ところが全ての借金の返済を受けられないとなれば、銀行としては黙っていられないはずです。
それなのになぜ同意してくれたのでしょうか。
まず前提として、会社をやめることを銀行は止められません。
強制的に営業を続けさせる権利はないのです。
そうなると廃業や清算を認めざるを得ません。
できることは、適正な価値で資産を換価し、返済に回してくれるのを監督するだけです。
そこで資産を換価する手段として事業譲渡を用いれば、銀行にとってもメリットとなるプランを描けることがあります。
普通よりも早く高く換価できる可能性が高いでしょう。
雇用などの地域経済へのダメージも減らせます。
仮にこの取組みですべての借金を返済することはできないとしても、銀行からすれば「何もしないではいぎょうされるよりはマシな話」にできるかもしれません。
銀行の出方を恐れる方は反発を恐れる方が多いかもしれません。
しかし、しっかりと情報を開示すれば聞く耳をもってくれます。
そして、描いた絵がみんなにとってメリットがあるものならば、合意してくれる可能性はあるはずです。
事業譲渡のやり方
事業の譲り方はどうすればいいでしょうか。
本ケースではたまたま事業譲渡という法律手法で話をしまいた。
他にも会社分割という手法も利用できます。
どちらがいいかや、手続きなどどうしたらいいか、さらには注意点は・・・
細かい話はいろいろとありますが、そのあたりは専門家の頭を利用したほうがいいところだと思います。