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事業承継で女性が突然社長に、について

「私は女だから、弟が家業を継ぐものだと長年思っていました。

社長である父も、周囲も、みんなそう考えていたはずです。

しかし、弟が父とケンカして会社を飛び出して音信不通になってしまい、結果、私が会社を継がなければいけなくなって・・・・」

私のクライアントの女性社長が、社長になった経緯を語ってくれたことがあります。

このようなパターンは、他社にもたくさんあります。

2月22日の日経新聞に「事業承継で突然社長に 夫や父からバトンタッチ」という記事がありました。

そこで紹介されているエヌエヌ生命保険アンケートでは、

中小企業の女性経営者に聞いたところ、事業承継で社長になった人の57%は後継者になることを「想定していなかった」と答えた。

承継にあたり事前の準備期間が「(ほとんど)なかった、突然だった」と答えた人は45%に上った

となっていました。

さらに、帝国データバンクの調査による、M &Aや社内承継、起業等も含めた女性が社長になった経緯については、半分以上(51%)が「同族承継による」とのことです。

ここから典型パターンが見えてきます。

・後継者候補だった男の他の兄弟が、会社を辞めてしまったり、死亡してしまった

・社長だった夫が、死亡等の理由で経営を継続できなくなってしまった。

こうして女性は、自分が思わぬかたちで会社を継ぐことが多いのでしょう。

私の亡くなった母親も同様でした。

後継者候補の弟がいましたが、彼がいなくなってしまったことで、会社の後継ぎになっています。

社長になるための準備不足

この承継パターンでは、本人に会社を継ぐ自覚がないため、準備が不足しがちです。

ただ、その女性後継者のほうが、元の後継者候補だった男性より社長に向いていると感じるケースが実は多かったりします。

先代の父とも、女性のほうがうまくやれるケースが多いですしね。

とはいえ、準備が不足していることは事実です。

急に出番が回ってきた女性の後継者はどうしたらいいでしょうか。

私がすぐに思いつくのは、「とにかくメンター見つけること」ことです。

自分がいずれ社長になると思っていた人でさえ、基本的に先代よりもずっと視野は狭いものです。

社長として本来持つべきマインドもなかなか持てていません。

急に社長になった人となればなおさらでしょう。

このあたりの欠如を自覚し、考え方や価値観などを変えていかなければまずうまくいきません。

あなたの想いをぶつけられて、忌憚のない意見をくれ、導いてくれる人がほしいですよね。

メンターはどんな人がいいのか?

では、どんな人がいいのか。

最近手にした安藤美冬さんの著書『新しい世界へ』に、「感情的のバランスがとれている人と話をするのがいい」と書いてありました。

感情のバランスの取れている人の定義は、「あなたが恐れていることを恐れていない人」ということだそうです。

この助言は、今回の話でも参考になるもののような気がします。

ただあなたに同調するだけの人では、共感こそあっても導くことはできません。

一方、あなたが歩む先の世界を見える人ならば、「あなたが恐れていることを恐れていない人」に該当するはずです。

そう考えれば、親身に相談に乗ってくれる先輩の女性経営者あたりがベストでしょう。

気がかりなのは、相手も忙しいでしょうし、仮にOKをもらえたとしてもどれくらいコミットしてもらえるか、です。

相手が善意で受けてくれた場合では、無理強いはできません。

いっそのこと仕事として対価を払い、本気になってもらうのも一案です。

お金を払うことは、相手を拘束する有効な手段です。

先輩経営者のあてがない場合は、コンサルタントなどのプロの経営支援者を雇うことが現実的なのかもしれません。

この場合でも出費をケチってはいけません。

元々サラリーマンだったり、主婦だった方が社長になると、これまでの延長でなんでも切り詰めようとする場合があります。

もちろん節約は大切です。

しかし、社長というのは、先にお金を投じて後の利益を引き寄せる生きものです。

そして、社長の場合、自分自身への投資が一番会社の利益に直結することだったりもします。

社長にふさわしいお金の考え方や使い方がありますね。


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この記事を書いた人

奥村 聡(おくむら さとし)
事業承継デザイナー
これまで関わった会社は1000社以上。廃業、承継、売却・・・と、中小企業の社長に「おわらせ方」を指導してきました。NHKスペシャル大廃業時代で「会社のおくりびと」として取り上げられた神戸に住むコンサルタントです。
最新著書『社長、会社を継がせますか?廃業しますか?』
ゴールを見すえる社長のための会【着地戦略会】主宰

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