人は本音を話すものだと思っちゃいけませんね。
場合によっては自分だって、本音を話していないかもしれません。
それも自分では気づかずに。
とあるケースでは、先代が子供に社長の座を譲らないことや、株式を手放そうとしない理由について、もっともな主張をしていました。
「まだ子供に覚悟が足りないからダメだ」とか。
「会社の業績が落ち込んだ時に自分が関われないと困るはずだ」とか。
たしかに正論でした。
でも、先代社長と僕がぶっちゃけて話をしたら、主張は一転。
「個人保証を外してもらい、それなりの退職金をもらえれば、会社から去ってもいいや・・・」と。
こんなケースはよくあります。
プライドとか世間体もあるから、思ったことを言いづらい場合があります。
頭の中が混乱してしまい、自分の本音が分からなくなっているケースもあるのでしょうね。
こんなとき僕は社長に寄り添いながら、本音を引き出し、整理します。
純粋な相談相手であって、一番いい作戦を描くことが役割なのがありがたいですね。
もし出口が決まった仕事をしていたら、行き着いた結論によっては困ったことになってしまいます。
たとえばМ&Aだけを専門にしていたら、「最初は会社を売るつもりだったけど、やっぱり従業員に継がせたい」というとき役に立てないことになってしまいます。
そんな事態を避けるため、相談を受けながら自分のビジネスに都合がよいアドバイスをしてしまうことだってある得ます。
お金を稼ぐためとはいえ、気持ちが良い仕事ではなくなってしまいます。
別件ではこんなケースもありました。
「廃業するからやり方を教えて欲しい」と。
しかし、話を聞いていると、社長の本音は「会社をたたみたくない」です。
いいかたちに事業を蘇らせて、それを若いスタッフたちに継がせてあげたいと。
そこで廃業支援ではなく、商売のリノベーションに一緒に取り込むことになりました。
もし社長の言葉を真に受けていたら、こうはなっていませんね。
もちろんリノベーションによる勝機が見えてたことも背景にあります。