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共同経営の限界を感じて分社の相談

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分社でそれぞれ別の会社にしたい

 

10年以上前に元同僚(Bさん)と会社を立ち上げたという相談者(Aさん)。

株式は、AさんもBさんも半々で持ち合っている。

従業員はパートが1名のみだ。

 

ここ数年経営に関して意見が合わなくなり、お互いがお互いに不満を持っている状況だったという。

そして、ここにきて限界を感じ、会社を別々にする方法を模索し始めたそうだ。

コロナによる業績の低迷が、Aさんの許容範囲を狭める原因にもなったのだろう。

 

顧問税理からの分社提案

Aさんたちは顧問税理士に相談したところ、「今の会社の下に子会社を二つ作ってそれぞれが独自に経営をすればいい」という提案があった。

仕事は従来の会社で受け、それぞれの子会社へ仕事を外注するというイメージのようだ。

 

しかし、提案を受けたAさんは釈然としないものを感じ、別の相談相手を探しているところで奥村を見つけた。

 

率直なところ、私は、顧問税理士さんからの提案をナンセンスだと感じた。

Aさんも感じていたように、根本的な問題解決にまったくなっていない。

 

この規模の事業で会社の数を増やすという方向性はまずないだろう。

収益から考えても、そんなに節税の必要性もない会社だ。

ものごとはいたずらに複雑にすべきではない。

会社が増えればコストもかかる。

「税理士さんは、会社を増やして顧問料を増やそうという魂胆でしょうかね・・・」とつい考えてしまった。

 

スキーム提案前に手を付けなければいけないこと

顧問税理士さんの提案に乗らないほうがいいと思ったそれ以上の理由がある。

問題は、いきなりスキーム提案をしている点だ。

 

「別れてやろう」と考えるようになった根底には、複雑な感情や考え方が絡み合っているはずである。

 

たとえば、Aさんは「俺が大半の売り上げを作って会社を支えてきた」と自負しているし、Bさんは「Aばかりが経費を好き放題使ってきた」と不満を持っていたりする。

 

感情的なわだかまりを残したままでは、提案を受けいれてもらえないか、途中でひっくり返されてしまうのがおちだ。

こうした感情問題を無視して本当の問題解決はできない。

結局のところ、他の問題同様、この相談も「人間関係の問題」なのだ。

 

奥村からの提案

上記のような考えを経て、奥村は次のような提案を行った。

①まず、分社はしない。

規模や状況を考えれば、きっちりとした分社手続は費用対効果が悪すぎる。

 

②次に、話し合いの軸は、廃業および清算とすること。

これまでの関係を解消するため、会社をたたみ、残ったお金を半々にするという着地点をベースにするのが妥当だろう。

 

③しかし、会社を閉じて、Aさんたちがまた新たに会社を設立するのは非効率となる。

そこで話し合いがついた場合のみ、どちらかが今の会社に残り、他者は株を時価で売って外に出ていくことにする。

なお、退職金を使えば、株の単純な売買より税金を減らせそうなので、話が進んだら顧問税理士と相談して決めることを注意した。

 

④最後にBさんとの話し合いのルールを先に作っておくことを助言。

・論点をリストアップしておくこと

・第三者を介して話をする

・話し合いのタイムリミットを作る・・・など

 

相談者の反応

方向性と具体的な話の進め方までつめて個別コンサルティング(初回相談)は終了。

Aさんは「モヤモヤがスッキリした」と晴れた表情を浮かべていた。

先方からは、奥村に対し、別途契約を結んだうえでの継続支援も求められたが、キャパシティオーバーのため辞退させていただいた。

解決までのルートが明確にできており、また、Aさんが私の意図をしっかり理解している点などから、自力での実行が十分可能だという感触を得ていたためでもある。

 

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この記事を書いた人

奥村 聡(おくむら さとし)
事業承継デザイナー
これまで関わった会社は1000社以上。廃業、承継、売却・・・と、中小企業の社長に「おわらせ方」を指導してきました。NHKスペシャル大廃業時代で「会社のおくりびと」として取り上げられた神戸に住むコンサルタントです。
最新著書『社長、会社を継がせますか?廃業しますか?』
ゴールを見すえる社長のための会【着地戦略会】主宰

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