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継業とは何か?

目次

『継業』の概要

バトンタッチのタイミングをむかえているのに、
会社やお店を継ぐ後継者がいない会社が増えています。

「ウチを継ぐ人なんていない」と
あきらめてしまっているケースも見受けられます。

一方で、赤の他人であった第三者を会社に招き、
承継させた事例もポツポツと増えているように感じます。

最近ではこのような事業承継のかたちを
『継業』と呼んだりするようです。

М&Aも第三者へ継がせるという意味では同じですが、
ビジネスライクな印象です。

また、自社よりも大きな会社に買われる場合が多いでしょう。

一方の、継業は人的なつながりを重視し、
投資行為ではなく、なりわいを受け継ぐようなイメージです。

承継する相手は個人で、
お金もそんなに動かない場合がほとんどだと思われます。

豆腐屋を継いだ継業の事例

私の支援した継業事例を紹介します。

ある商店街では、豆腐屋の店主が
「後継者もいないし、もう廃業する」
と言ってまわっていたそうです。

それを聞きつけた女性グループが、
店主に掛け合って「店を継いだい」と直談判しました。

もともと障がいのある人も一緒に働ける場を作ろうと
取り組んでいましたが、
思うように売り上げが作れずにいました。

そこで豆腐屋の話を耳にし
事業を新しい収益源にできるかもしれないと
考えたのです。
承継の申し出に対して最初は聞く耳を持たなかった豆腐屋の店主も、
その女性たちの本気に心を打たれて承諾しました。

ここから修行が始まりました。

3名で豆腐の製造と配達と事務を手分けし、
約2年の引きつぎ期間をもうけて仕事を習いました。

今では代替わりまで完了させ、
自分たちだけで製造から販売までを行っています。

新商品の開発やパッケージのデザインなどに取り組み
独自のファンも開拓しています。

後継者は一人でなくてもいい

この事例はなにも一人に継がせるばかりが
手ではないことを教えてくれます。

技術的なことの承継は本当に難しいですが、
役割を分担することで実現可能性が見えてくる場合があります。

「仲間と一緒に」というのは
今の若者と相性がいいスタンスでもあります。

他人だからかえっていい?

「赤の他人だと引き継がせることが難しい」と、
思われる方もいるかもしれません。

でも私は、かえってそちらのほうが上手くいくようにも感じます。

後継者が子供の場合、先代と関係が近すぎて
感情的な衝突などが起きやすいところ、
赤の他人ならばお互い尊重し合いやすいようです。

もちろん承継を進めていく途中で、
お互いが衝突したり、
ズレが生じたりすることはあります。

そんなときのために間に入って
調整してくれる人を用意しておければいいですね。

継業に意欲をもつ社長へ

後継者がいないから廃業すると言っている社長の潜在意識には、
「面倒なことはしたくない」という思いもあると思います。

廃業すればそれで終わりにできますが、
他人が入ってきてややこしいことになると困りますよね。

それでも若者に承継させてあげることを
考えてみていただきたいのです。

継業をした先代は、
自分のやってきたことが残せてよかったと喜んでいます。。

また、後継者から「継ぎたい」と評価され、
一緒になって承継に挑むことで
若々しい気持ちを取り戻すケースもよく見ます。

「ウチじゃ継いでも食えない」と判断する前に・・・

業界の先行きの厳しさや景気から、
うちの会社や店を継いでも食べていけないと、
継業を断念してしまう方がいます。

でもやってみなければ分からないし、
仮に成功できなくても
それは先代社長の責任ではありません。

先代の役目は機会を提供することで、
それを活かすかどうかは後継者次第なのです。

この機会を提供してあげるということが、
相手にとっても、社会にとっても、
ものすごく重要だと思います。

若者は柔軟な発想で思いもよらぬやり方で
会社を盛り上げてくれるかもしれません。

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この記事を書いた人

奥村 聡(おくむら さとし)
事業承継デザイナー
これまで関わった会社は1000社以上。廃業、承継、売却・・・と、中小企業の社長に「おわらせ方」を指導してきました。NHKスペシャル大廃業時代で「会社のおくりびと」として取り上げられた神戸に住むコンサルタントです。
最新著書『社長、会社を継がせますか?廃業しますか?』
ゴールを見すえる社長のための会【着地戦略会】主宰

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